明治ザ・チョコレート開発裏話がネットで話題――画期的な商品の開発には社内の風通しのよさが欠かせない
自分が自信をもって開発した商品に対して、上司がいちゃもんを付けて来たら、部下はどれだけ逆らうことができるだろう。社内の意見にキッパリと抗いヒット商品を生み出したエピソードが、ネット上で話題だ。
内容は2月1日にNHK NEWS WEBで取り上げられた特集の一部だ。大手菓子メーカーの明治が2016年9月に発売した「明治ザ・チョコレート」、その開発担当者が社内の人に逆らうセリフが素晴らしいと注目を浴びた。(文:okei)
「あなたの年代がターゲットではない」と反発
明治ザ・チョコレートは、厳選したカカオ豆を使い、含有量や味に変化をつけるなど、これまでの定番商品とは違うこだわりを打ち出した商品だ。パッケージデザインも大胆にリニューアルし、シンプルなカラーとカカオのイラストで洗練されたデザインになっている。
これまでセオリーだった商品の写真やイラストを廃したため、社内では「このパッケージでは中身がわからない。売れるはずがない」という厳しい意見も出た。しかし事前の消費者調査で手応えをつかんでいた開発担当者は、
「あなたの年代がターゲットではない」
などと反論し、発売にこぎつけた。定番商品のおよそ2倍の価格だが、売り上げは当初の販売計画の約2倍に上っているという。
この内容が、あるツイッターユーザーのツイートから拡散し、3万以上リツイートされた。感動した多くのユーザーがコメントを寄せている。
「古い価値観を若い人に植え付けるだけの老害は必要ないってこと。商品化おめでとうございます」
「社内の強権に恐れず立ち向える姿勢に敬意を表したいですね。これだけのデザインやブランディングが出来ているものをしっかりマーケティングが出来ればちゃんと結果になりますよ!!」
筆者もこのチョコレートの、カカオ54%「優しく香るミルク」をスーパーで見かけて購入したことがある。チラシを撒いたような菓子売り場の中で、センスの良いパッケージはひと際目を引いた。プレゼントの包み紙のような個包装は可愛らしく、開けてすぐにカカオの香りが立ちのぼる。ミルクチョコレートとは思えないほどカカオの味が濃厚で、少量でも満足感がある味わい深さだった。
本来の上司とは、問題を指摘して説得される存在でもある
なお、ツイートは反論を受けた社内の人や、明治の社風が素晴らしいとする意見もある。
「これ、そうやって推した開発者本人より、そんなこと言わせてくれる年配の先輩とか、社内風土がすごくない?ブラックかどうかを判断するのに、長時間労働かどうかも勿論大事だけど、こういった風通しの良さが占める割合もバカにならないと思う」
「一見上司が無能に見えますが、部下に売れると説得されてGOサインを出した。本来の上司とは、問題を指摘して、説得される存在でもあると思うねぇ」
中には、「これが狭量な上司なら『私には若い人向けの製品がわからないということか!!』で潰されて終わりそう」という声も。
人間歳をとると考え方が固定化されがちだ。新しい考え方がすべて良いわけではないが、常に新しい商品を生み出さなくてはならない企業が、従来のやり方にこだわり続けることは危険である。このエピソードは明治という会社の度量の大きさも表したようだ。
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