「社交的なザリガニのほうがぼっちのザリガニより酔いやすい」 海外の実験結果が話題に
実験は、ハーバーホルツ准教授と学生2人によって行われた。約1週間単体で飼育したザリガニと、数週間共同生活させたザリガニを用意し、それぞれを同じアルコール濃度の水槽に放ち、その様子を動画で記録・観察したという。
どちらの飼育環境で過ごしたザリガニも、水槽に入ってからの行動は同じだ。最初はしっかりとした足取りで歩くものの、だんだんと酔いが回り、テイル・フリップ(尻尾をバタバタとさせる動き。外部刺激などで興奮した際に見られる行動)を見せ始める。次第に千鳥足になり、最後には仰向けの状態から起き上がれなくなってしまう。
しかし、それぞれの行動までかかった時間が異なる。共同飼育のザリガニは、テイル・フリップまで約20分、仰向けまで約36分、単体飼育のザリガニはテイル・フリップまで約28分、仰向けまで約43分と、どちらの行動でも、共同飼育のザリガニのほうが早く見られた。
つまり、共同飼育を経験したザリガニのほうが、酔いが早く回ったということになる。
「いつかアルコール依存症の治療法や予防対策方法の確立に役立つはず」
ハーバーホルツ准教授はこの実験に関して、4月19日付のJournal of Experimental Biology電子版で
「人間においても、孤立や孤独はアルコールの消費量を増やし、お酒の影響を受けにくくする作用があるのかもしれません」
とコメントしている。ただし、今回の実験はあくまでもザリガニを対象としたもの。人間などの哺乳類でも同様の結果が見られるか否かまでは、今後の研究が必要になる。これについて同誌は
「准教授は、いつかこの研究がアルコール依存症のより良い治療法や予防対策方法の発展に役立つはずと楽観的だ」
と報じていた。