メルカリで「離婚届」が売買されるというカオス 昼間に役所に行けない、近所に知られたくない人の需要にマッチ?
キッザニアの通貨「キッゾ」が取引されたり、現金の出品が禁止されるや否やチャージ済みSuicaが売りに出されたりと、話題に事欠かないメルカリだが、今度は離婚届が売り出されていることが判明した。
婚姻届も取引中 コナンのイラスト入りは他より高めの700円
サイトを確認したところ、4月25日11時現在、相場は300円から400円程度のようで、離婚届と書き方見本がセットになっているものが多い。相場より高めの555円で売られていた離婚届セットは、役所で配られている書き方見本に加え、オリジナルの記入マニュアルが2枚付くなど親切だ。出品者のコメントにも
「離婚届の書き方って、ややこしいんですよね。何度も役所に行くのも嫌だし…でも、役所で配っている書き方の説明書ではわかりにくい。そんな方にオススメの、書き方マニュアル(離婚届付き)です」
とある。かゆいところに手が届く商品、と言ったところだろうか。
届け出用紙という区分では、婚姻届の出品も確認された。こちらは特に、キャラクターや模様入りの用紙が多く取引されている。雑誌の付録についてきたもので、婚姻届としての需要の他、コレクター向けに出品している人も見られた。名探偵コナンのイラスト入り婚姻届は700円前後が相場のようだ。
自治体のダウンロードサービスを利用すれば、印刷代だけで済む場合も
しかし、離婚届も婚姻届も役所に行けば無料で貰える。なのになぜ、わざわざお金を出して買う人がいるのか。
考えられるのは、役所の開いている時間に取りに行けない人たちの存在だ。平日は17時ぐらいで閉まってしまうところが多いので、時間内に足を運べず、休日や夜間の開庁時にも出向けない人にとっては一定の需要がある。また、DVを受けていて、相手が自分の自由な外出を認めず、役所に受け取りに行けないというケースも考えられる。そうした人たちからすれば、家にいながら確実に用紙を手に入れられ、かつ郵送で送ってもらえるという入手ルートは、非常に助かるものであろう。
他にも、離婚の検討を他人に知られたくない人がいることも取引が成立している要因のようだ。離婚届は役所の窓口でお願いすることで初めて貰える。しかし、街の規模によっては、窓口で働く職員が知り合いだったり、その場に来ている他の利用者が顔なじみなこともある。噂が広まり居心地が悪くなるよりは、他人にばれない安全性をお金で買うほうが得、と考える人がいるようだ。ネットでも
「人目や相手に気づかれないようにという需要なのだろうな」
「『そもそも旦那が市役所勤務』とかありそう」
などと言われている。
ただ、離婚届の様式は全国共通だ。そのため、自分の住む自治体以外で貰った用紙でも使用可能である。他の街まで行くのが難しい人は、北海道札幌市や茨城県鹿鳴市などが実施しているダウンロードサービスを利用すれば、自宅に居ながら用紙を手に入れられる。コピー代はかかっても、300円よりは安い。
こうした点を考慮すると、フリマアプリで用紙を買うのは得なのか、疑問が残るところだ。