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「ゴミという概念のない社会を作りたい」 テラサイクルCEOトム・ザッキー氏インタビュー

テラサイクルは、たばこの吸い殻や歯ブラシなど、これまでリサイクルされてこなかったゴミのリサイクルに取り組む世界的企業だ。CEOのトム・ザッキー氏(35)は、2012年に国連の「世界を変えるリーダー賞」を始めとする数々の賞を受賞してきた。

今回、「サステナブル・ブランド国際会議2017東京」に合わせて来日したトムに、都内のホテルでインタビューを行った。果たして、トムの思い描く理想とは―。

「資本主義には世界を変える力があるんです」

テラサイクルCEOのトム・ザッキー

テラサイクルCEOのトム・ザッキー

トムは、大学在学中の2002年にテラサイクルを創業。このときは、ミミズの糞から肥料を作ろうとしたという。大学の寮で1人始めたテラサイクルも、いまでは世界21か国に支社を持つ世界的なリサイクル会社に成長した。

たばこの吸い殻や歯ブラシなどそれぞれのリサイクルプロジェクトに対して、スポンサーを募集。集めた資金でリサイクル事業を進め、スポンサーの方も環境への配慮をPRできるという仕組みだ。

同社は、これまで「ゴミ」としか考えられてこなかったものをリサイクルしてきた。その根底には、「『ゴミ』という概念のない社会を作りたい」というトムの思いがある。

「自然界にはゴミという概念がありません。例えばネズミを例にとって考えてみましょう。ネズミが呼吸をして二酸化炭素を排出すれば、植物がそれを吸収します。ネズミのフンは養分にもなりますよね。そしてネズミが死ねば微生物などがそれを食べます。自然界にはゴミがないのです。
一方、人間の世界では、最後には全ての物がゴミになってしまいます。これではいけません。『ゴミ』という概念のない社会を作りたいんです」

トム自身が、ゴミを出さないような生活を心がけている。世界的に著名な起業家であるにもかかわらず、ジーパンはいま履いているものしか持っていないという。また日本や中国などアジア各国を2週間かけて回るというのに、荷物はボロボロのリュックサック1つのみ。

この小さなリュックサック1つでアジア各国を周るという。

この小さなリュックサック1つでアジア各国を周るという。

それでもゴミを出さない生活は難しい。「飛行機に乗っても、使い捨ての紙コップが出てくる。ゴミを出さないように心がけているけれど、いまの社会でゴミを全く出さずに生活することは難しいんだ」と心苦しそうに語った。

ユニークなライフスタイルを実践するトムだが、その経歴もまたユニークだ。1982年、当時まだ共産主義だったハンガリーに生まれ、政治亡命する家族と共にオランダ、カナダへと移住。19歳のときにアメリカに渡り、プリンストン大学に入学した。

共産主義圏で生まれたトムの目に、資本主義経済はどのように映ったのだろう。大量生産と大量消費、そして大量廃棄を繰り返す様子に疑問を持ったのではないか、それがテラサイクルの創業に結び付いたのではないのか。しかしトムからは「僕は資本主義と恋に落ちました」という意外な答えが返ってきた。

「資本主義には、世界を変える力があるんです。資本主義そのものが悪いのではなく、それを使ってお金儲けに走るのか、その力を使って世界を変えるのかということが問題なんです」

今後は「吐き捨てられたガム、使用済みの生理用品、オムツ」をリサイクル

テラサイクルは、事業だけでなく、職場環境もユニークだ。世界にある全てのオフィスはリサイクルされたものから作られているという。

本社オフィス

本社オフィス

ニュージャージー州トレントンにある本社オフィス(写真上掲)には、不要になったレコードで作られたカーテンが天井からつりさげられ、仕切りの代わりになっている。オフィスというよりはお洒落なカフェのようだ。

また経営者と社員の格差を小さくするため、経営者の報酬は社員の7倍までに抑えられている。社員の70%が女性だというところにも同社の特徴がある。トムによると、「女性の方が環境問題に興味があるからだ」という。

テラサイクルは、今年から新しい大規模なプロジェクトに取り組み始める。世界中のビーチやダム、湖からプラスチックのゴミを回収し、洗浄・粉砕してペレット化。シャンプーブランドのHead&Soulders(h&s)が、そのペレットを用いてシャンプー・リンスのボトルを製造するという。これまでゴミと思われていたものが、また1つゴミではなくなったわけだ。

今後は一体どういったものをリサイクルしようとしているのかと聞くと、「吐き捨てられたガム、使用済みの生理用品、オムツ」という答えが返ってきた。インタビューをしていた記者は、「そんなものを回収してリサイクルするのか」と思わず笑ってしまった。するとトムは「何を笑っているんだい。大切なことだよ」と真剣なまなざしで自身の理想を繰り返した。

「いずれは全ての物をリサイクルしたいと思っているんだ」

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