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「クロ現」でアニメ業界の「ブラック労働」話題に 新人の平均年収110万円「一番大切なのは現場に予算をつぎこむこと」

『クローズアップ現代+』でアニメーターの労働問題が特集された。

『クローズアップ現代+』でアニメーターの労働問題が特集された。

同番組によると、新人アニメーターの平均年収は約110万円、業界全体でも約333万円にしかならない。年収が低いのは、イラスト1枚当たりの単価が約200円と安いからだ。作業の早い人でも1日に20枚仕上げるのが限界で、月収は10万円前後にしかならない。

長時間労働も常態化している。1日の平均労働時間は11時間で、休日は平均で月4日しかない。番組の取材を受けた25歳の男性アニメーターは「アニメーターの中で結婚できてる人って上位2割」と語った。

背景には、アニメがヒットしてもアニメーターの収入増にはつながらないという歪んだ業界構造がある。アニメを製作するときは、テレビ局・出版社・広告代理店などからなる製作委員会が結成され、実際のアニメ作りは制作会社やその下請けが担う。アニメ作りにかける予算が限られている上、グッズや海外への販売による利益は全て製作委員会に出資した企業のものになる。アニメ制作会社には還元されないのだ。

アニメーション監督で日本アニメーター・演出協会会員の入江泰浩さんは、

「現在のクオリティを維持するための総予算が圧倒的に足りない」
「(グッズ販売などの)2次使用料や印税がアニメーターには支払われる仕組みになっていない」

と問題を指摘した。

海外ではクリエイターの組合がストライキを実施したケースも

同番組が放映されると、ネット上で話題に。ツイッターには「とにかくなんでもいいから改善されて欲しい」といった声が寄せられた。番組の最後にコストカットや効率化に成功した製作会社が紹介されたことについて、「だめだこれ」と呆れる人もいた。

「どうやって賃金アップとかいう話じゃない。コストダウン、という話に帰結してる本物のクソ番組だ」
「いつの間にか現場の効率化って話にシフトしてたけど、一番必要なのは構造改革で現場に予算(人件費)をつぎ込むことだろう」

コストカットや効率化といった製作会社側の努力も重要だ。しかし労働条件を改善するためには、アニメのヒットが現場のアニメーターには還元されないという業界構造を変えなければならない。

そのためには制作会社や下請けが製作委員会と粘り強く交渉していくことが必要だ。アニメ業界にも労働組合がないわけではないが、あまり活発に活動していない。

海外の事例でいうと、ハリウッドには約1万3000人の脚本家が加盟する「ハリウッド脚本家組合」がある。同組合は2007年にストライキを実施し、番組の収録が中止になったり、ドラマや映画の製作が延期になったりしたという。

他にも、アニメーターだけでなく、「フィギュア業界」や「漫画家」も厳しい状況に置かれているという声もあった。

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