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現代版質屋アプリ「CASH」が利用者殺到でサービス停止 「フィンテックならぬ貧テック」という声も

手元にあるアイテムを即座に現金化できる「CASH(キャッシュ)」というアプリがネット上で物議を醸している。開発したのはIT企業バンク。6月28日にリリースしたところ、利用者が殺到し、翌29日には現金化を停止した。

ネット上では、サービスの再開を危ぶむ声だけでなく、貧困層を対象にしたビジネスモデルに対し「闇が深い」「フィンテックならぬ貧テック」といった声が相次いでいる。

約3億7000万円を現金化、「使われすぎてて、震えてきた…」

質屋のようなアプリが登場

質屋のようなアプリが登場

同アプリでは、ユーザーが手元にあるアイテムを撮影すると、その商品の価格を即座に査定。アイテムを送付しなくとも、銀行振り込みもしくはコンビニ受け取りで査定額を手にすることができる。現金を受け取ったユーザーは2か月以内に担保にしたアイテムを送るか、受け取ったキャッシュを返金するかのどちらかを選べる。返金の際には、手数料15%が掛かる。

バンク社の光本勇介取締役会長は、ファッション情報サイト「ファッションスナップドットコム」のインタビュー記事で、同アプリについて「『現代版質屋』みたいな物」と説明していた。

「私たちがチャレンジしようとしているのは、あえて既存のフィールドを言うのであれば『消費者金融』なんです」
「あえて分かりやすく説明すると『現代版質屋』みたいな物です」

28日のサービス開始からわずか17時間弱で7万2796回アイテムがキャッシュ化され、その総額は3億7000万円近くに上ったという。運営側の想定をはるかに上回る規模で利用されたため、翌29日には査定機能を一時停止、現在も利用できない状態が続いている。公式サイトには、「ここまで多くの皆様にリリース初日にご利用いただけるとは、正直なところ、夢にも思っておりませんでした」と記されている。

光本氏は28日、「止まらないキャッシュ化…。想像以上だ…」「非常にありがたいのですが、使われすぎてて、震えてきた…」とツイート。あまりの反響の大きさから、急きょアルバイトまで募集していた。

「今朝リリースをしたCASHなのですが、すでに私たちの想像を遥かに超えて利用していただいており、すでに数日後に相当数のアイテムが私たちのオフィスに届くこともわかっており、これを一緒にさばいてくれるアルバイトの方を大募集いたします!日給1万円です! DMください!」

手数料15%、金利ではなく「罰金」と捉えれば問題ない?

これまでにない新しいサービスだが、ITジャーナリストの井上トシユキさんは、「1~3万円が足りないというニーズを上手くとらえたアプリ」だと語る。

「若い人や非正規雇用の人で目先のお金が足りないという人は多いと思います。利用者の中には多重債務を抱えている人もいるでしょうね。こうした人は1社あたり1~2万円借りていることが多いのです」

インターネット上では、15%の返金手数料に疑問を呈する声が上がっていた。質屋営業法で定められた金利の上限を上回るのではないかというのだ。しかし井上さんは、「金利ではなく、商品を2か月も送らなかったことに対する『罰金』のようなものだと考えれば問題はないのではないでしょうか」と語る。

同社の公式サイトには、顧問弁護士事務所として大手弁護士事務所の名前が掲載されていた。法律上、問題がないことを弁護士に確認してあると言いたかったのかもしれない。しかしなぜか29日現在は記載が削除されている。

「スマホの発達で友達同士のお金の貸し借りがアプリとして登場」

バンク社は「ペイデイ」というアプリもリリース予定だという。平均月収を基に計算された金額を月に3回まで受け取れるというもので、「毎日をお給料日に!」がうたい文句だ。

これまでにも手数料を支払うことで給料を前払いしてもらえるサービスなど同様のサービスは存在していた。これらはいずれもすぐに現金を手に入れるための方法となっている。

井上さんは「少額を貸与するこれらのサービスは、消費者金融をカジュアルにしたもの。以前なら友達に借りていたような金額をこうした手段で手に入れるようになってきている。スマートフォン1つで商品の写真を送ったり、本人確認をしたりできるようになったことが大きい」と解説する。

同アプリの査定機能が再開される時期についてはまだ発表がない。光本氏は29日夕方、ツイッターで「体制等が整うまでの間、いま暫くお待ちいただけましたら大変幸いです…」とつぶやいていた。

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