IT企業がブラックになるのは取引先のせい? 「毎日のように仕様変更」「金曜に仕様が届いて週明けが期限」
職場環境は決して悪くない。「上下関係」もなく、「スーパーに飲み物買いに」行くこともできる。しかし残業が多く、忙しいときは連日24時過ぎまで会社にいることがある。
長時間労働の原因は依頼してくる取引先にあるという。現在、半年に渡って携わっているプロジェクトでは、取引先から「仕様変更や追加の依頼の連絡が嫌がらせかってレベルで毎日何通も来てる」というのだ。
「画面を見て、『これとこれ並び替えたほうが見やすいかも』や『ここでこのデータも見れたほうがいい』とか思いつきで依頼が来てると言ってもいいくらい」
「依頼に応じて変えた結果、『やっぱり前のでいいや』、『データ多すぎて見づらい』『入れるならこの辺のデータも全部見れるように』とかどんどん変わるし、なかったことにもなる」
ほかにも「金曜に仕様が届いて週明けが期限」といった無理な納期を設定されることもある。しかし「小さい会社な分、仕事もらえないと困る」こともあり、取引先の要求を飲まざるを得ないのが現状だ。
「会社としてはホワイトにしようとしても仕事くれるところがブラックだから巻き添えを受けてる」
と会社がブラックになる原因を分析していた。
はてなブックマークのコメント欄には、「『できます』って言っちゃう人のせいなんじゃないの」「仕様変更はその度に金がかかります。とかそういう契約にしたら良いだけ」といった指摘が相次いだ。やはり度重なる修正を無料で引き受けるような契約内容や営業担当者が悪いのではないかというのだ。
中には、「めちゃくちゃな依頼と感じたら普通に3万円になりまーすって返してる。月曜厳守だったら特急料金で倍お願いしまーすかな」という声も。取引先に対して、こうした対応ができれば、働く人が残業を強いられることもなくなるのだろう。
「2~3か月掛かるものを今月中にやってという要求も珍しくない」
エン・ジャパンが3月に発表した「『中小企業の残業』実態調査」でも、残業が発生する理由として「取引先からの要望(納期など)にこたえるため」という回答が最も多く51%に上っている。今回の投稿で問題となっている「IT・情報処理・インターネット関連」の企業だけに絞れば、68%が「取引先」が原因だと回答している。
「残業ゼロのIT企業」を謳うアクシアの代表取締役・米村歩氏は、キャリコネニュースの取材に「取引先からの度を越した要求はそれほど珍しくない」と語る。
「システムの改修を無料で行ってほしい、2~3か月掛かるものを今月中にやってほしいといった要求も珍しくありません。そうした要求を断ると契約を切られるのではないかと不安に思い、以前は弊社でも要求を受け入れていました」
しかし会社の中核を担う社員に「辞める」と言われたため、働き方改革に着手。その過程で、残業を減らすために、取引先からのムチャな要求を断らざるをえなくなったという。現在は、「仕事の見える化」や「仕事の標準化」によって残業の削減に取り組んでいるそうだ。