「機械翻訳」が急速に進歩する時代 働く人の「英語力」はどこまで必要になるのか?
8月21日付け産経新聞は、アサヒビールなどを傘下にもつアサヒグループホールディングスが、社内のテレビ会議やメールに、英語と日本語を相互に自動翻訳するソフトを導入する予定だと報じ、ネットの話題を集めている。
語学が不得意な社員が、海外の子会社と意思決定をするときの負担を軽減するためだ。社員の英語力をアップさせるよりも、ITの力を使った方がいいと判断したのだろう。しかし自動翻訳の精度が低ければ、業務上の混乱が生じるのは必至だ。
このニュースに対し、2ちゃんねるでは「機械翻訳なんか使い物になるの?」「英語もできない従業員が沢山いるってこと?相当に嘆かわしいな」といった疑問や批判が見られる。その一方で技術の向上で、かなり使えるものになっているという指摘もある。Yahoo!ニュースにも、歓迎のコメントがあった。
「これ良いね。うちの会社もやたらと英会話やらそうとすんだけど、仕事やりながらだと精神的にも相当負担。現地法人に赴任してる人以外は翻訳で充分」
いくらグローバル時代といえども、英語が達者なのに仕事は大してできない人より、仕事がバリバリできる人にテクノロジーの支援をしてコミュニケーションを取ってもらう方が、ずっと合理的と考える会社は少なくないのではないだろうか。
大事なのは「機械に翻訳されやすい日本語」を話すこと?
とはいえ、自動翻訳の結果が正しいかどうか、ある程度判断できるくらいの英語力は必要になるだろう。A Successful Failureというブログを運営するLM―7さんは8月7日、外国人に人気という店で目撃したトイレの貼り紙の写真をブログに載せている。
翻訳ソフトの出力をそのまま貼り付けているようだが、英文として成り立たない表現が目につく。LM-7さんは「機械翻訳時代における、必要最低限の英語力は、翻訳サービスが出力する英語の正否を判断し、正しい翻訳を導くためのコンテキストを含む日本語を入力する能力になるのだろう」と指摘している。
自動翻訳の使い方については、2ちゃんねるでも参考になる指摘が見られる。
「原文たる日本語をいかに簡便かつ直接的表現にするかだな。日本語的な言い回しは翻訳が難しい。まずは主語を明確にしないと」
LM―7さんが載せた貼り紙でも、主語が入れ替わっている点が最も誤解を招く原因になっている。もしかするとこれからの日本人には、主語を明確にするなど「機械に翻訳されやすい日本語を書いたり話したりする技術」こそが重要になってくるのかもしれない。
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