東大が世界ランク46位に没落 「教育軽視の日本はどんどん落ちていく」と危惧する声も
ランキングは、世界77か国・地域の大学を対象に、論文の引用頻度や教育環境などを基に毎年作成されている。
東大は5年前に23位を獲得したものの、前々回には43位まで順位を下げた。前回は39位まで順位を上げたが、今回のランキングでは再び順位を落とし、過去最低の46位だった。京大は、前々回の88位、前回の91位から今回の74位まで順位を上げたものの、5年前の52位よりも大幅に順位を下げている。
上位200校にランクインしたのはこの2校のみで、200~400位以内に入ったのは、大阪大、東北大、東京工業大、名古屋大、九州大だった。
日本の大学が苦戦を強いられる中、アジアからはシンガポール国立大学(22位)、中国の北京大学(27位)、清華大学(30位)がトップ30位にランクイン。中国からは他にも5校がトップ200にランク入りしている。THE誌も「中国はいまやトップ30位に入る2つの大学を擁する」「欧米の一流大学さえ凌ぎつつある」と中国の躍進に注目している。
この結果を受けて、東京大学名誉教授のロバート・ゲラー氏(地震学)は、
「落ちたのは東大だけでない、日本の他大学も。原因は日本経済の鈍化、政府の大学半殺し予算カットだろう」
「例えば、下村文科相の頃の『文系軽蔑』方針もダメージの原因だったと思う」
とツイート。「日本の一流大学及び先端研究機関の抜本的改革の必要性は明白であり、速やかに行うべき。リソースの増加も欠かせない」と対策を促した。
評論家の孫崎享氏もツイッターで、「教育軽視の日本はどんどん落ちていく」と危機感を露わにした。
論文数では世界4位に低下、論文の被引用回数は9位まで下落
大学の順位が下がっているだけではない。8月に発表された「科学技術指標2017」によると、日本の論文数も減少傾向にある。1993~1995年にはアメリカに次いで第2位だったが、2013~2015年には、アメリカ、中国、ドイツに次ぐ第4位にまで順位を下げている。
被引用回数が上位10%に入る「Top10%補正論文数」は、4位(1993~1995年)から9位(2013~2015年)に低下。2位に躍り出た中国に抜かされることとなった。
文部科学省が6月に発表した2017年版の科学技術白書では、国際競争力の低下の背景には、国立大学運営費交付金などが減っていることや、常勤の教員が減少し不安定なポストが増えていることなどがあると指摘していた。