サイボウズの新聞広告「働き方改革に関するお詫び」が話題 プレ金を批判し「楽しいか楽しくないかが指標になるべき」と訴える
同社は、2005年から働き方改革に着手し、「最大6年間の育児・介護休暇制度」や「副業は原則自由」など柔軟な働き方を推奨してきた。代表の青野慶久氏は、『チームのことだけ、考えた。』などの働き方をテーマにした著書も出している。2014年には、経済産業省が主催する「ダイバーシティ経営企業100選」にも選出されている。
日経新聞の広告では、同社がこれまで「100人100通りの働き方」にチャレンジしてきたとアピール。昨今の「働き方改革ブーム」も歓迎だというが、「私たちが伝えたかった『働き方』とは、そういうことではないのです」と「働き方改革」の現状に異議を唱えた。
「私たちの意思はまったく伝わっておりません。とにかく残業はさせまいとオフィスから社員を追い出す職場、深夜残業を禁止して早朝出勤を黙認する職場、働き方改革の号令だけかけて現場に丸投げする職場。なんですか、そのありがた迷惑なプレミアムフライデーとやらは…」
長い間、働き方改革に取り組んできたものの、「私たちにもっと力があれば、私たちがもっと強くメッセージを発信できていれば、このような働き方改革の現状にならなかったのかもしれない」とお詫びしている。
同社は、8月に公開した「働き方改革 楽しくないのはなぜだろう」というサイトでも、働き方改革を風刺している。同サイトでは、「アリとキリギリス」という童話をモチーフにした「アリキリ」というアニメが公開されている。
「残業編」では、株式会社アンツに勤める働きアリの後藤さんが、キリギリスの井上さんに向かって、「仕事の量が減ったわけじゃない」「15時になったら会社を出て、すぐそこのカフェに行く」とプレミアムフライデーへの不満を語っている。
「一律の残業規制は本質からズレている。多様性を重んじることが大切」
広告とアニメはネットで話題になり、
「虫の生態も生かしつつ、日本のサラリーマンの声を代弁してる」
「なかなか中身がリアルで面白かった。こういうリアルな声を、いかに反映させていけるか」
と賛同の声が相次いでいる。
今回、このような新聞広告や特集を企画した意図はどこにあるのか。同社の担当者は、キャリコネニュースの取材に対して、「昨今の風潮に対して問題提起をしたかった」と語った。
「長時間労働を一律で規制するといった昨今の風潮は、本質からズレているのではないでしょうか。働きたい人は働けばいいのですから、重要なことは多様性を重んじることだと思うんです。一人一人がどうしたら楽しいと感じられるか考えていくことが大切です。働き方改革が成功しているかどうかの指標は『楽しいか楽しくないか』にあると考えているからです」
今回のPRが「働き方について考えてもらうきっかけになれば」とも語っていた。