9割の企業が残業削減に取り組むも、効果があったのは約半数 働く人は「他の人が仕事を代替できる体制づくり」を要望
厚生労働省は9月末、2017年度版「労働経済白書」を発表した。月間総実労働時間を見ると、2000年には約154時間だったが、2016年には約143時間にまで減少した。
月末1週間の就業時間が週35時間以上の労働者の中で、週60時間以上働いた人の割合を見ても、2003年には17.6%だったが2016年には12.0%と、長時間労働者の割合は減少傾向にある。
男性は労働時間が減少傾向にあるが、女性はそうでもない
しかし、国際的に見ると依然として日本の労働時間は長い。週50時間以上働く雇用者の割合は、OECD加盟国の平均が13%、米国11.7%に対して日本は21.9%となっている。
年齢階級別に見ると、男性では35~44歳(17.7%)、女性では25~34歳(5.6%)の長時間労働者の割合が平均(男性:15.7%、女性:5.1%)より高い。同じ年齢帯で2000年と2016年のデータを比較すると、長時間労働者の割合は、男性はマイナス6.4ポイントに対し、女性はマイナス0.9ポイントとほとんど減っていない。子育て世代にあたる女性のワークライフバランスに課題があるのが見てとれる。
労働時間が長いと仕事と家庭の両立にストレスを感じる人が増える。ワークライフバランスの希望と現実の合致状況を聞くと、一日の労働時間が10時間以内の人が41.8%に対して、10時間以上の人では29.4%にまで落ちる。
残業削減に「短時間で質の高い仕事を評価」を望む声
ワークライフバランスの推進に対する企業の取り組みを見ていくと、所定外労働時間削減に向けての取り組みを行う企業は92.6%に及ぶ。しかし、実際に効果があったと答えた企業は52.8%と約半数にとどまっている。
所定外労働時間の削減については、働く人からは「短時間で質の高い仕事をすることを評価する」や「担当がいなくとも他の人が仕事を代替できる体制づくり」といった取り組みが効果的だとする声が多く挙がっているが、実際にはこれらを行う企業は少なく、働く人と企業との間で考え方に差が出ている。
週の実労働時間が60時間以上の人に仕事の効率化に必要なものを聞くと、「組織間・従業員間の業務配分のムラをなくす」(53.7%)がトップ。「人員数を増やす(業務量を減らす)」(47.8%)、「仕事中心の風土や社会慣行を見直す」(32.9%)などが続いた。
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