自民党の「幼児教育無償化」めぐる手のひら返しに子育て世代が激怒 認可と無認可でさらなる不公平が進む懸念
衆議院解散が発表になった9月25日、安倍首相は記者会見で、幼児教育の無償化を進めると明言していた。
「2020年度までに3~5歳まで、全ての子供たちの幼稚園や保育園の費用を無償化します。0~2歳児も、所得の低い世帯では全面的に無償化します。待機児童解消を目指す安倍内閣の決意は揺らぎません。本年6月に策定した子育て安心プランを前倒しし、2020年度までに32万人分の受皿整備を進めます」
また、自民党の選挙公約の目玉だった6つのうちの1つにも挙げ、消費税増税分を、幼児教育無償化や待機児童解消、介護職員の処遇改善に充てると宣言していた。財政面の懸念も「財政健全化の旗は明確に掲げつつ、不断の歳入・歳出改革努力を徹底します」と述べていた。
それが、衆院選からたった2週間のうちに大きく覆されることになる。認可外施設は、保育士の配置人数や施設の床面積などの基準が緩い。政府の論理は、こうした施設も無償化にすると、政府がこれらを推奨していると受け取られかねないため、とのことだが、唐突な方針変更にネットでは「おかしくない?」「酷いでしょ 認可保育園に入れないだけでも酷いのに 無償化からも外されるってどんだけ罰ゲームよ」などの怒りが噴出した。
そもそも、認可に入りたくても入れない人たちが仕方なく認可外に行っている
もともと、認可外の保育施設への補助金は認可施設よりも遥かに少ない。そのため、認可外の保育料は認可よりも高い。自治体によっては利用者の経済的負担を減らすために補助制度を設けているところもあるが、全てではない。
また、認可外施設の利用者は、その多くが認可施設に入れずに仕方なく選んだ人たちだ。
厚労省が2004年に発表した資料によると、認可外施設を利用している人の約4割は、「認可保育所に空きが無かった」「預けたい時期に入れなかった」など、止む無く認可外を選んでいる。
今年10月に発表された「2015年社会保障における公的・私的サービスに関する意識調査」内でも、幼稚園、認可保育園(所)、認定こども園以外の保育サービスを利用した人の動機は「認可保育所(園)、認定こども園に入れなかったから」が1位になっていた。
これらを勘案すると、認可施設への入所を希望していながら選考に洩れ、やむを得ず認可外を選んだ人たちの自己負担は変わらず、認可だけ無償化にするのはさらなる不公平さを生むことになる。選挙で自民党に票を投じた、幼い子どもを持つ有権者にとって、今回の方針転換は裏切りと言っても過言ではないようだ。
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