交通機関のストライキは「迷惑」なのか 「日本では労働者の権利に対する理解が広まっていない」と弁護士は指摘 | キャリコネニュース - Page 2
おかげさまで10周年 メルマガ読者数
65万人以上!

交通機関のストライキは「迷惑」なのか 「日本では労働者の権利に対する理解が広まっていない」と弁護士は指摘

日本ではあまり発生しないストライキ

日本ではあまり発生しないストライキ

交通機関のストライキが行われると、「迷惑」と感じる人も少なくないようだ。一方で日本労働弁護団に参加する塩見卓也弁護士はキャリコネニュースの取材に対し、

「ストライキの権利は、憲法28条で定められた『団体行動権』で保証されています。労使交渉の中で、会社側が不誠実で交渉が前に進まないことがあります。そうしたときに実力行使で要求を飲ませることが必要になります」

とストの意義を指摘する。近年、大規模なストライキが減っていることについては、

「国鉄の分割民営化のころあたりを境に労働組合が弱体化し、ストライキは減ってしまいました。最近では、大規模なストライキはほとんど起こらないですね。しかし近年でも、都内のカレーチェーンやアメ横で職場占拠のストライキが起こっています」

と話す。また、ストに対して不寛容な人が多いことについては次のように語っていた。

「日本では、労働者の権利に対する理解が広まっていません。ヨーロッパでは、労働者の権利についての社会的な理解がもっと深いです。例えば、ドイツでは、定時で帰るのが基本ですし、残業しても1日10時間労働が限度です。お店は平日でも夕方までしかやっていないところが多く、日曜日はほとんどのお店が開いていません。『日曜は休むもの』という意識が定着しており、消費者の利便性よりも労働者の権利が優先されるんです」

「組合の組織率が低下し、労働運動が他人事になっているのではないか」

首都圏青年ユニオンの原田仁希さんも、

「組合はストライキを武器に交渉を行い、労働条件の向上を目指します。ヨーロッパでは日本よりも頻繁に起こりますが、多くの人がストライキに寛容です」

とストライキの意義を語る。日本では迷惑だと感じる人も少なくないようだが、「組合の組織率が低下し、労働運動が他人事になっているのではないか」と背景を指摘した。

2016年12月には、川崎鶴見臨港バス(神奈川県川崎市)の組合が、運転士の拘束時間短縮を求めてストを決行している。近年、日本ではなかなか見られなくなったストライキだが、働く人の労働条件を改善するためには、必要な手段なのかもしれない。

キャリコネであの有名企業の「働きがい」「年収」「残業」の実態を見る

【PR】注目情報

関連記事

次世代バナー
次世代バナー

人気記事ランキング

  1. 世帯年収1000万円の本音「この収入で贅沢できるなんて40年前の基準」「税金が高すぎ。最も割を食う層」
  2. 「お客様にはもう少し頭を使ってほしい」 会計時の小銭の出し方を批判したツイートが賛否両論を引き起こす
  3. 従業員の8割が会社の人事評価制度に不満 しかし経営者の9割は「正当な評価ができている」と自信満々
  4. 「休日は3か月に1日」「5日間風呂に入れず」 憧れのテレビ制作現場で働くADたちの悲喜交々
  5. 家族への不満「50代独身、彼女を作ってもすぐ別れるように諭される。実家を出たら、お金を支援できなくなるから」
  6. マツコ、氷河期世代への就労支援に持論「レールから外れたことで何もかも失ったと錯覚している人たくさんいる」
  7. 「お盆に帰省してくる親戚」に困惑する嫁たち「コロナ禍だし大雨だし誰も来ないだろうと思っていたら……」
  8. 落合陽一「人口減少と高齢化はチャンス」ポジティブ思考にネット民から反響「見習いたい」「私もそうしよう」
  9. サイボウズの新聞広告「働き方改革に関するお詫び」が話題 プレ金を批判し「楽しいか楽しくないかが指標になるべき」と訴える
  10. 府中刑務所の文化祭で獄中メシ&プリズンツアーを体験 中は「比較的きれいな中学校」みたいだった

アーカイブ