クルミを殻ごと食べる動画で人気「むかない安藤という働き方」講演 「人間は割と噛む力が強い。まだまだ全然いける」
食べ物の皮や包装をむかずに食べる動画で話題の“むかない安藤”さんが2月24日、「むかずに食べるむかない安藤ショー」を渋谷ヒカリエのCreative Lounge MOVで行った。
トークショーは同所で開催された「仕事と働き方の見本市 MOV市-Neighborland-」の中のプログラム。デイリーポータルZの編集者・安藤昌教さんが「むかない安藤という働き方」というテーマについて話した。
整理券制だったが、開始前には全て配布終了。会場には約40人のファンが集まり、立ち見が出るほどの人気だった。
「ハマグリを食べたときは『人の道を外れた』と思った。ラッコでも割るのに」
安藤さんは2012年、殻付きゆでたまご実食動画の公開を皮切りに”むかない安藤”の活動を始めた。バナナの皮をむかずに食べたり、殻付きのピスタチオをバリボリ食べたりなど、6年間で撮影した動画は約250本にのぼる。トークショーでは過去動画も紹介された。
「お~渋い。毒かもしれない。中を吸う感じ。上級者向きですよ」(皮付きバナナ)
「歯と同じ硬さ。味はウマい」(殻付きピスタチオ)
2013年には個別包装してあるカントリーマアムをむかずに食べる暴挙にでている。動画では「『外さっくり中しっとり』って言ってるけどもう一層ある。ガッサリがあるだろ!」と発言。過剰包装に異を唱えるためにも行っていたことを明かした。
その後、巨大な柑橘類・晩白柚に失敗したが、着実にキャリアを重ね、2016年にハマグリ、2017年に殻付きクルミなども攻略している。ただこれらについては、
「(ハマグリは)人の道を外れた。ラッコでも貝を割るのに……でも達成感がすごかった」
「(クルミも)硬かったです。歯だけじゃ割れないので、頭蓋骨の上の方全て使って噛む感じ」
と硬いものをむかずに食べる難しさとやりがいを語った。安藤さんは過去の動画を振り返り、「2014年頃まで『むいた方がいい』という結論で(動画が)終わってるんですよ。そこから先になると『むかなくてもいいよ!』になってました」と分析。自身のマインドの変化を感じているようだ。
氣志團・綾小路さんに「地毛でパンチパーマにしろ」と言われ、エンタメの厳しさを学ぶ
そんな安藤さんは”むかない安藤”を仕事にするまで、どのように働いていたのだろうか。安藤さんは理系の大学院卒業後、原子炉の設計をしていた。しかし、入社4年目にロックバンド・氣志團のバックダンサーに参加。退社後は沖縄に移住し、カフェ兼アートギャラリーの運営、ライターとしての活動を経て、現在に至る。
経験した仕事には一見、脈絡なく見えるが、「すべて興味があるからやっていました。それはいまでも変わりません」と話す。また氣志團の団長・綾小路翔さんについて「天才だし、尊敬する人」と語った。
「ある日、綾小路さんに『パンチパーマにして来い』と言われたんです。僕が尊敬する人の共通点は『完璧を求める人』で細部にこだわるし、『人を見ている人』。ヅラはダメなんです、フェイクだから。エンタテイメントに対しても仕事対しても厳しい人でした。そこは綾小路さんから学びました」
現在、安藤さんはデイリーポータルZで広告企画の仕事を中心に行っている。クライアントとの打ち合わせが多いため、「中身がないと会話できないから、持ってるネタは昼間に全部吐きだす」という。インプットは主に読書や映画鑑賞で、ネットメディア編集者ではあるが「ネットは情報量が多いので、これくらいが丁度いい」と話す。
ライオンの噛む力は「せいぜい僕たちの3倍程度なんですよ」
“むかない安藤”の撮影は月1~2回だが、6年も同活動を続けているため「スーパーに行ったら『大体やったな』と思う」。今後は、やったことのない季節の野菜や、苦手である生臭い甲殻類・魚介類、過剰包装に挑戦していきたいとコメントした。
また、子どもが真似しないよう注意喚起するとともに、歯を大切にし、食べ物を無駄にしないようにするということにも気を付けているという。
「この活動はあと1000年くらい続けたい。今後、技術が発達して、例えば頭のバックアップを取れるようになるとする。そのデータを新しい体に移行できれば、人間って死ななくなりますよね。そうなれば僕はずっと『むかない安藤』の活動を続けられます。冥王星の海に変な魚もいるかもしれない」
硬いものにも挑戦する安藤さんだが、「一般的に人間の歯の力は100キログラムで、これはライオンの約3分の1。つまりライオンはせいぜい僕たちの3倍程度なんですよ。そう考えると人間は割と噛む力が強い。まだまだ全然いける」と自身の可能性に期待していた。
最後にバナナと殻付きクルミをむかずに食べ、大盛況のままトークショーは終了した。安藤さんは自身の働き方について「見本にはならないと思います。例外じゃないけど、それぞれ色んなことやっていけばいいのでは」とコメントしている。