「正社員じゃなきゃダメなのか?」で仁義なき論争! ニコニコ本社で「アベノミクス審判」開催
東京・池袋にリニューアルオープンしたニコニコ本社で12月6日、経済学者4人による「仁義なき経済論争」と題したトークイベントが開催された。衆議院選挙が14日に迫る中で、これまでの「アベノミクス」はどのように評価されているのだろうか。
議論が盛り上がったポイントのひとつは、アベノミクスが「雇用」に与えた影響についてだ。出席した識者からは好意的な評価が相次いだが、ニコニコユーザーからは疑問を呈する厳しいコメントもあがっていた。
識者「失業より非正規雇用の方がマシ」
経済学者の田中秀臣氏は、新卒市場、再雇用(中高年)市場ともに回復が続いていると指摘し、教授として勤務している上武大学にも、中小企業を中心に多くの求人票が届いていると明かす。実際に、求人件数は2014年2月から前年同月比20%以上の「猛烈な増加」を示しており、再雇用市場は非正規雇用が中心ながら回復を見せているという。
「非正規雇用の待遇が長期的にあまりにも劣悪なら考えなければならないが、失業していた人間が職を得るんですから、これほど良いことはない。当面の雇用回復がダメにならないうちに、消費税対応や金融緩和などで対策をしなければならない」
これには、元財務官僚の高橋洋一氏も同意する。回復の流れを止めないため、企業が次年度の採用計画を立てるまでに「目に見える形での減税」をすることが必要だと提案した。
また正規・非正規に関しては、待遇が平等に近いことを前提として「いきなり正社員(で就職)だと望みが高い。失業とどっちがいいか」とする。雇用自体を重要すべきという意見のようだ。
非正規雇用者の人数は、2014年1~3月平均の労働力調査では1947万人。リーマンショック後の09年の同時期の1677万人を上回り、一時失業状態にあった人が非正規で再雇用されたという解説はうなずける。エコノミストの片岡剛士氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)も、現状の動きに好感触があると評した。
「(非正規の増加は)退職者が再雇用されるケースと、30~50代の主婦の方が非正規で働いているケースがある。リーマンショック以降はパートタイマー職が失われていたが、13年に入り景気が良くなって戻してきたという話で、さらに景気を良くなる政策を打っていけば待遇は自然と良くなる」
ニコニコユーザー「待遇格差をどうにかせなあかんやろ」
ただ、生放送を視聴しているニコニコユーザーからは、こうした識者の論調に対し疑問を投げかけるコメントが寄せられた。特に「正規雇用と非正規雇用の待遇格差」は現状で見逃せないものがあり、それを解決せずに「非正規でもマシ」と言うのは楽観的すぎるという指摘が目立つ。
「おいおい、待遇格差をどうにかせなあかんやろ」
「非正規を賛美する人に限って、正社員じゃないか」
「失業か非正規かとかもうレベルが低すぎてなぁ」
国税庁の調査(2013年)では、非正規雇用者の平均年収は167.8万円。正規雇用者が473.0万円で、300万円を越える差がある。総務省の調査(2013年)では非正規労働者の19.9%が、本来は正社員を希望している「不本意非正規」であるとの結果が出ている。
高橋洋一氏はその格差を平等に近づけるためには、まずは公務員で待遇を改善するのが良いという。確かに中央官庁や地方自治体では、コスト削減への厳しいまなざしが注がれる中で、非正規職員との待遇の格差が極めて大きくなっているといわれる。
「まず、正規非正規の差が激しい公務員で直すのが簡単。そうすれば民間も待遇が平等に近くなって、あとは生き方に合わせて選べるようにしたら良い」
モリタク氏「そんなにメイドが欲しければ秋葉原に行け」
ただし、経済アナリストの森永卓郎氏は、アベノミクスの成長戦略は「一部の特権階級のための社会をつくりたいということ」だと批判する。「すべての女性が輝く社会づくり」というスローガンも、「とにかく働け働け。女も国家総動員だから働けということ」と手厳しい。
また、政府の産業競争力会議メンバーの竹中平蔵氏と共演した際、竹中氏は女性の活躍には「外国人のメイドが一番必要」だと話していたそうだ。この政策には様々な議論があるが、森永氏はこれに反論している。
「メイドを雇うには、お金も住む部屋も必要。だから竹中さんに『そんなにメイドが欲しければ、秋葉原に行け』と言いましたよ。特権階級がメイドとか執事をはべらして、左うちわで暮らすための政策だと理解しています」
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