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日本IBMの給与体系と将来性――外国人社長はコストカッター、社員は「リストラ不安」におびえる

日本IBMで営業マンとして働く、40代後半の男性Mさん。この会社に転職して5年になる。1000万円という現時点の年収には満足しているが、業績不振に伴う各種手当のカットに直面し、リストラの不安を感じ始めている。

「会社の業績悪化が続けば、いずれ減給されることは目に見えています。このままでは仕事への情熱もどんどん失われていくので、給料が下がってもいいから、もっと働きがいのある会社への転職も考えています」

総売上高は2001年の半分以下にまで激減

東京・日本橋箱崎町の日本IBM本社

東京・日本橋箱崎町の日本IBM本社

Mさんは、この会社では現場の社員は単なる歯車扱いで、大事にされていないと感じている。個人に求めるノルマは高いのに、無駄なミーティングや提出書類が多く、自由にビジネスができないと不満顔だ。

そんな会社で活躍できるのは、精神的・肉体的に相当タフな人か、「半沢直樹」の大和田常務のような人だという。世渡り上手で上長には逆らわず、保身のためになら何でもできる人、という意味だ。

日本IBMは、世界有数のIT企業として知られる米IBMの日本法人であり、国内におけるIBM製品および情報システムサービスの提供を行ってきた。

かつては新卒生の就職人気ランキングに何度も登場していたが、近年は業績不振が続いている。総売上高は2001年度の1兆7075億円をピークに右肩下がりを続け、2012年度には半分以下の8499億円にまで落ち込んだ。

現在は2012年5月に就任したマーティン・イェッター社長のもとで再起を図っている。同社として56年ぶりの外国人社長となったイェッター氏はドイツ法人のエンジニア出身で、本社の戦略担当副社長を経て日本法人の社長に就任。「コストカッター」のあだ名を持つ辣腕ぶりで知られている。

はたして現場の人々はどのように働き、どのような待遇を受けているのか。Mさんの待遇や生の声、同社の人事制度などから実態を探ってみよう。

賞与は「インセンティブ型」と「ボーナス型」から選択

Mさんの年収は約1000万円で、うち150万円が賞与分。所得税や社会保険料、厚生年金保険料などを差し引くと、毎月の手取りは50万円ほどだ。

中途で入社した当時は年収600~700万円程度だったが、コンスタントに高い実績を挙げたため、5年ほどで年収1000万円に到達することができた。

給与額は基本的に「バンド(BAND)」と呼ばれる職級で決まる。バンド6が、いわゆる現場の平社員。バンド7が一般企業の係長クラス、バンド8が課長クラス、バンド9が部長クラス、バンド10が事業部長クラスだ。

《各バンドの年収》


バンド6=500~800万円
バンド7=900~1000万円
バンド8=約1200万円
バンド9=約1500万円
バンド10=1500~1800万円

新卒入社の場合、バンド6の前にトレーニーと呼ばれる研修期間もある。一番多いのがバンド7の社員で、Mさんもここに属している。係長クラスといわれてはいるが、部下はいない。

バンド8になると、部下の育成とマネジメントを行いつつ、自らもプレイング・マネージャーとして営業や開発を行う。経営陣や役員クラスはバンドA~Dと区分され、Aに近づくほど高い職級となる。

賞与の支給の仕方には大きく2つあり、個人実績に応じて支払われる「インセンティブ型」と、会社の業績に連動して支給される「ボーナス型」を選ぶ。

インセンティブ型なら賞与額に上限はなく、実力がある人なら数百万円の支給も目指せる。売上目標の100%を超えた実績を上げると支給額が急上昇するため、Mさんもこのインセンティブ型を選択している。

下位15%は減給処分で「リストラ対象」に

会社の業績に連動したボーナス型でも、過去には100万円以上もらえた時期もあったが、近年の業績不振で、前年比で10~15%以上減ることもある。

「ただ、同じバンドでも個人業績や担当業務などで年収に大きな差がつくこともあります。職種によっては特別手当がついたりするので、細かな支給パターンは数え切れません」

外資系の人事評価は、数値で厳格に行われているイメージだが、実際には「直属の上司の主観」に委ねられるところが大きい。

「PBC評価(目標管理型業務評価制度)という5段階の評価制度があるのですが、上司の主観で判断が下されやすい。それに絶対評価ではなく相対評価なので、一定以上の業績があっても必ず低く評価される社員が出てきます」

その結果、同じ業績を上げていても、従順でおとなしい性格の人は低評価になりやすい。評価が下された社員のうち下位の15%は「ボトム15」と呼ばれ、10~15%の減給処分になるという。

一度ボトム15に入ってしまうと、その後に挽回するのは難しい。ゆくゆくはリストラ候補としてカウントされてしまうので、現場のメンバーはここに入らないよう戦々恐々としながら働いている。

「上司の心証を悪くすれば減給候補なので、ボトム15(の制度)を批判するような気骨ある人はいません。現場のほとんどの人は、波風を立てずに自分の業績を上げることだけを考えて働いています」

Mさんは、会社の業績不振とシビアな人事評価システムが、現場で働く社員を疲弊させていると漏らす。リストラと人件費削減の方針に逆らえない雰囲気が広まり、そのことに異を唱える管理職もいない。

福利厚生カット、殺伐とした雰囲気

最近の社内の雰囲気は、急に同僚が出社しなくなったり、上司が子会社に出向になったりすることも多く、殺伐としていると感じている。

「少なくとも営業部門では、会社全体のため、同僚や部署全体のためといった取り組みは評価されない。個人個人が、自分の成績だけを気にして働いている状態です」

会社全体がとにかく人件費を削るように動いているため、減給もリストラも容赦なく行われているそうだ。社員に好評だった借り上げ社宅制度や住宅費補助は、昨年7月から廃止された。

借り上げ社宅制度は、社員の住む賃貸物件を会社側が借り上げて最大で7万円程度の家賃補助をしていた。住宅費補助は数万円の住宅手当が得られた。いずれも廃止されたことで、特に若手社員にとって大きな負担増になっている。

Mさんは、個人成績が重視され過ぎると、社内のチームワークが悪くなり、シナジーが生まれにくいと指摘する。

「営業チーム全体で協力すれば獲得できるような案件も、担当者1人で獲得しようとしてしまう。結果、チーム一丸となってプロジェクト獲得を目指している競合企業に後れを取るんです」

売上が下がり続けているのに、新卒で入社したIBM生え抜きの中高年層に危機感がないことも不安を感じる。

「部下やチームを盛り上げようとする意識や、みんなでこのピンチを脱しようという意識があまり見られない。かつての栄光が忘れられず。気楽に考えているのではないかと思うんです。中途入社してきた自分のような人間から見ると、危うい状況だと思います」

優秀な社員は「ライバル外資に流出し始めている」

もちろん全社員が暢気に構えているわけではないが、危機感を覚えた優秀な社員は「すでに日本オラクルなど他の外資への転職活動を始めている」と明かす。

中途採用で入社する社員もいるが、その使い方にも首を傾げる。彼らはすぐに現場に投入され、実力のみで評価される。

「社内ツールの使い方や会社特有のドキュメント作成などを教えてくれる人もいないので、疎外感がものすごい。独自ルールに慣れるまでに余計な手間がかかるので、入社しばらくの間はいつも終電帰りでした」

新卒の場合には入社後に研修を受けられるが、それが終われば実力勝負の世界に放り出されるので、「繊細な人は向いていない」という。

今後、日本IBMがどうなっていくと思うかと質問したところ、Mさんは「低迷していくと思う」と率直に答えた。

「業績不振に対して、社内改革ではなくリストラで乗り切ろうとしている。『もう会社にこないで』なんていうロックアウト(締め出し)も行われているほどです」

かつてのエリート企業の高コスト体質を改めるために、イェッター社長は大ナタを振るっている。それも会社にとって喫緊の課題かもしれない。しかし現場の社員からは「社員の流出で現場にヤル気がなくなり、競合の外資系IT企業に差をつけられていくのではないか」と暗い見通しがあがっているのも事実だ。

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