最先端の不妊治療、NHKクロ現が「子宮移植」テーマに放送 「自分で産みたいと考える女性は多いのでは」と丸岡いずみ | キャリコネニュース
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最先端の不妊治療、NHKクロ現が「子宮移植」テーマに放送 「自分で産みたいと考える女性は多いのでは」と丸岡いずみ

日本では今、夫婦の5組に1組が不妊治療をしているといわれているが、不妊の原因というのは現在わかっているものだけでも様々だ。

36歳筆者も不妊治療を受けた。私の場合、不妊の原因は卵管にあることがわかり(卵管留水種と卵管閉塞)、「これじゃあ卵子と精子が出会えないよね」ということで体外受精適応となった。しかし体外受精や顕微授精でも妊娠に繋がらない不妊のケースがある。そのひとつが子宮の問題だ。(文:みゆくらけん)

子どもを産むために健康な人の体を傷つけることが許されるのか

今後、子宮移植が可能に?

今後、子宮移植が可能に?

たとえば流産処置や帝王切開などの影響で子宮内が高度癒着して妊娠の機能を失った場合や、子宮悪性腫瘍、良性疾患、産後の大量出血などで子宮を摘出した場合、また生まれつき子宮を持っていない場合や子宮低形成、子宮奇形などがそれに当たる。つまり「子宮がないか、あっても妊娠のための機能を果たさない」というケースでは、今日の日本では妊娠・出産を諦めざるを得ない状況だ。

そんな中、5月7日のNHK「クローズアップ現代+」では、新しい不妊治療として研究が進められている”子宮移植”が取り上げられた。子宮移植とは第三者から提供された子宮を自分の体に移植し、妊娠・出産する方法のこと。受精卵は自分たち夫婦のものを保存しておき、それを移植した子宮に戻す。現在、慶應義塾大学病院と名古屋第二赤十字病院で、臨床に向けた準備を始めているという。

世界では、現在8か国で40件近くの子宮移植が行われ、11人の子どもが生まれているという。しかし、課題やリスクは大きい。まず倫理的問題として「子宮はなくても生きていけるのに、子どもを産むために健康な人の体を傷つけることが許されるのか」というものがある。また、子宮移植は10時間以上に及ぶ大きな手術で、死亡のリスクもゼロではない。

「日本でも症例があれば自分もトライしていた可能性がある」

それでも、我が子を抱きたいという親の思いは強い。番組にゲスト出演した丸岡いずみさんは、自身の6年近くに及ぶ不妊治療を振り返り、「日本でも(当時もし子宮移植の)症例があれば、私はトライしていた可能性はあるなと。やはり自分で産みたいと考える女性は多いのではないかと私は思います」とコメント。不妊の原因が子宮にあった丸岡さんは、結果的に自身の子宮を使っての妊娠は諦め、海外での代理母出産に踏み切り第一子を授かっている。

番組を見た視聴者からは子宮移植について様々な声が寄せられている。肯定派からは

「子宮移植、すごい!選択肢の1つとして選べる社会であれば、どれだけの女性が希望を持てるんだろうか」

などという声がある一方、否定的な声も。四季レディースクリニック院長の江夏亜希子医師は次のようにツイートしていた。

「不妊治療は、まだ見ぬ生命を産み出す尊いものであることは間違いない。でも、今ある第三者の生命や健康にリスクを負わせる方法は反則だと私は考える。そういう理由で、代理母や卵子提供、子宮移植などの方法には反対。子供を産めない事は絶対的な不幸ではない。それも個性の1つにならないものか?」

高度不妊治療にトライした筆者からみても、体外受精の延長線上に子宮移植があるとは正直考えにくい部分もある。理由は「誰かのお腹を切って子宮をもらう」というのが重過ぎるからだ。

しかし中には、子宮移植のドナーになることを検討している人もいると聞く。たとえば性同一性障害の人で、性別適合手術を受ける予定のある人だ。つまり女性から男性への性別適合手術を受ける際に摘出する子宮を提供したいというもの。これはある意味とても有効で、うまくいけばお互いハッピーなんじゃないかとも思える。

ともかく、不妊治療は今後どこまで進むのだろう。個人的には生殖医療技術の進歩よりも、より多くの人が今ある不妊治療を受けられるような社会の仕組みになっていけばいいなと感じている。

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