法政大学「学問の自由」に関する声明発表「本学の研究者たちに、恫喝や圧力と取れる言動が度重ねて起きている」
声明にある「国会議員による言動」とは、自民党の杉田水脈衆院議員や橋本岳衆院議員らを指すと思われる。杉田議員は4月下旬、安倍政権に批判的な立場を取る法政大学の山口二郎教授が「6億円弱の科研費を受け取っている」と指摘。山口教授はこれに対し、4月29日の東京新聞で「根拠のない言いがかりには反論しなければならない」「政権に批判的な学者の言論を威圧、抑制することは学問の自由の否定である」と猛反発していた。
杉田議員の言う「6億円」は、2002年~2006年、2007年~2011年、2012年~2017年の合計16年間、山口氏を研究代表者とする、異なる研究グループに支払われていたものの合計額だ。これら3つの研究にはのべ40人程度の共同研究者らが参加しているが、杉田議員の主張では、山口教授個人に支給されていたようにも取れる。
橋本議員は、法政大学の上西充子教授が5月4日にヤフー個人に掲載した、裁量労働制を巡る厚労省の不適切データ問題を指摘・検証する記事について、自身のフェイスブックで「後付けで噴飯ものもいいところの理屈」などと評していた。
橋本議員はその後、上西教授からの批判を受け、「文中に、自分の主観のみを根拠として特定の方を中傷したり、責任を転嫁していると受け止められる表現があった」と、投稿内容の一部を修正している。
上西教授は5月11日に開いた会見で、橋本議員に対し「国会議員による恫喝だ」「研究者への圧力で、到底認められない」と、抗議の意を示している。
法政大学は声明で、
「適切な反証なく圧力によって研究者のデータや言論をねじふせるようなことがあれば、断じてそれを許してはなりません」
「今後、全国の研究者、大学人の言論が萎縮する可能性を憂慮し、本学の研究者に起きていることを座視せず、総長としての考えをここに表明いたします」
と述べている。