「日本カジノ学院」のド派手な新聞広告にネット騒然「コラかと思った」「意味分からん」何を学ぶ学校?代表者に聞いてみた
贄田さんは建築学部の出身。卒業研究で、お台場にカジノを作る計画を提出した経験もある。卒業後は清水建設に入社し働いていたが、カジノに対する思いは消えず、2014年、IR法が一度成立しかかったタイミングで学院の運営会社を立ち上げた。2015年に1校目を開校以降、全国に校舎を広げ、現在は東京、札幌、大阪など都市部を中心に7校を構える。
学院では、カジノディーラーに必要な知識を学ぶことができる。ポーカー、ルーレット、バカラ、ブラックジャックの4科目の実技や座学に加え、マネージャークラスになるために必要な人材育成論やマーケティング、依存症に関する講座もある。講師は海外のカジノ経験者のほか、学院の卒業生も多い。授業料や通学期間はコースによってまちまちだ。
広告に掲載した「カジノディーラーの資格」とは、一般社団法人日本カジノ協会が認定する資格のこと。資格がなければカジノで働けない、というわけではないが、同校では取得を推奨している。
「各校、毎月20人前後の新規入学者がいます。男女比は半々。入学者は18歳の高校生から50代の人まで様々ですが、30代前後の人が一番多いです」
7月末の法案通過と新聞広告の影響で、現在は「対応しきれないくらい問い合わせが来ている」そうだが、新聞広告に関しては「ギャンブルを助長する学校なのか、といった意見も聞く。賛否両論あった」と言う。これについては
「日本のカジノは統合リゾート(IR)といって、シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズのようなものを目指しています。ビジネスで来る人だけでなく、家族で楽しめる場所になる予定です。パチンコなどと一緒ではありません」
と、誤解だと反論した。また、ディーラーという仕事の魅力について次のように語った。
「海外のカジノでは年配の方が働いていることが多いんです。例えばマカオでは、60代でも活躍している人がいる。ディーラーは若い人の仕事だと思われがちですが、40代からでも目指せます。それを伝えたくて新聞広告を出しました」
カジノ解禁で日本人ディーラーが不足する可能性「育成とイメージ改善に力入れたい」
現在日本に、適法のカジノはない。卒業後、ディーラーへの就職を希望する人は、原則海外に行くことになる。
「世界140か国にあるカジノは、基本的に自国民を採用しています。しかし、シンガポールでは日本人のディーラーを採用しているのでそこに行ったり、30歳以下ならワーキングホリデーでカナダのカジノに行ったりする人もいます。ディーラーではなくカジノスタッフとして、ベトナムに就職する人もいました」
そもそも在学生は、すぐにカジノで働くことを希望する人ばかりではない。「今後日本でカジノが出来た時、知識があったら仕事に有利だと考えて通う銀行員の方などがいます」と、現在の仕事に付加価値を付ける目的で通う人も多いという。
贄田さんは、今後日本でカジノが解禁されるにあたり、日本人ディーラーの育成に力を入れていく必要があると主張する。シンガポールのマリーナ・ベイ・サンズの規模のカジノを作るとなると、1か所あたり2000人から3000人のディーラー必要になる。か所合わせると、国内で1万人弱のディーラーが必要になるが、養成が間に合っていない。
「今、ディーラーは基本日本人から採用するということになっていますが、人材が足りていません。海外から呼ぶこともありえるのではないかと思います」
イメージ改善も課題のひとつだ。
「カジノディーラーはお金を扱う仕事なので、海外では、日本の銀行員のように、社会的な信頼と身分のある仕事だと見られています。給料も良いです。先日サイパンで出ていた求人は、ディーラーだと日本円にして年収400万円、マネージャークラスだと1000万円でした」
今後は学院の運営を通し、イメージ払拭と人材育成に力を入れていきたいという。「国策として進めるのですから、人材育成は必要ですよね。カジノには、関連産業含め色んなチャンスがある。それを知って欲しい」と話していた。