「ゲーム障害」疾病認定で動揺広がる 該当するのはどんな人?「ゲームはまって学校に行けなくなる」「課金で数百万の借金」 | キャリコネニュース
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「ゲーム障害」疾病認定で動揺広がる 該当するのはどんな人?「ゲームはまって学校に行けなくなる」「課金で数百万の借金」

WHOの国際疾病分類(ICD)に6月18日、重度のゲーム依存が「ゲーム障害」として追加された。ICDはWHOが定期的に作成・公表している疾病や死因の分類で、今回の改訂で11版目。世界各国・地域の医療従事者に利用されている。

ICD-11では、「ゲームの止め時や頻度を自分で決められない」、「ゲーム以外の優先度が低くなり、学業や仕事などの日常生活に支障を来してもゲームを優先する」などの状態が1年以上続いた場合に認定されるとしている。「日常生活に支障を来す」とはどの程度を指すのか明かされていないことや、「ゲーム障害」という名前の印象から、ネットでは、

「仕事障害も作れ」
「俺は水泳に熱中してるから水泳障害って言うわけ?なら野球選手は野球障害。サッカー選手はサッカー障害だな。他人の好きな事や仕事を貶すな」

といったコメントも多く出ている。

「多くのゲーマーは、ゲーム障害には該当しないだろう」とWHO委員

過剰反応は、疾病への理解を遠ざけることになります

過剰反応は、疾病への理解を遠ざけることになります

アルコールを始めとする様々な依存症に関し情報発信や啓発を行うNPO法人アスクの、ネット依存・ゲーム依存の担当者は、こうしたネットの状況に苦言を呈する。

「勉強や仕事に影響が出ていない人まで過剰に心配する必要はないです。『疾病に追加』という文言だけを見て、正確に理解されない事態になることは避けたい」

CNNの報道によると、WHOの薬物依存と精神疾患委員の1人Vladimir Poznyak博士は「世界にいる無数のゲーマーたちは、たとえゲームに熱中していても、ゲーム障害には該当しないだろう」と発言している。

熱中するものがある人を「〇〇中毒」と表現することはよくある。今回の疾病分類を受けネットで噴出したネガティブな反応は、こうした状態と「ゲーム障害」が、同程度のものとイメージされたからではないだろうか。

実際の依存患者の様子と、いわゆる「ゲーム好き」との間には、大きな溝があるように思える。ゲームやネット依存症の治療に精力的に取り組んでいる神奈川県の久里浜医療センターには、新規相談として1年に約260人、継続来所を含めると年間1500人程度がゲーム依存症の相談・治療で訪れる。本人に依存症の自覚がないために、家族だけで相談に来る人も多いという。患者の70%は未成年で、平均年齢は19歳と、若年層で深刻だ。

院長を務める樋口進医師はゲーム依存症患者について次のように語る。

「ゲームにはまって学校に行けなくなり、引きこもり、学校を辞めざるを得なくなったり、親が心配してゲームをやめるよう言っても、大声で怒鳴ったり、殴る蹴るで聞く耳を持たない人もいる」

成人だと、ガチャ課金で数百万から数千万の借金を作るなど、正常な金銭感覚を失っているケースもある。

病名が付くことで研究・調査が進み、実態把握が可能になる

こうした患者には、主治医の問診と臨床心理士による個別カウンセリングのほか、NIP(ニューアイデンティープログラム)という治療を実施する。

「朝から夕まで病院で、同じゲーム依存症患者らと共に過ごすプログラムです。午前中は体育館などで身体を動かし、昼は食事を摂りながらミーティングをします。午後は、ゲーム依存について参加者全員で、テーマや課題を決めて話し合う認知行動療法を通し、本人が思考の癖や誤りに気づけるよう促していきます」

ただ、通院治療では、病院の外に出ればネットに触れることが出来てしまうため、ネットから完全に離れて生活するための2か月間の入院や、8泊9日のキャンプなどのプログラムも用意されている。特にキャンプは、「子どもたちが、ゲーム以外に楽しいことがあると体験を通じて知ることができる」ため、効果が高いそうだ。

ゲーム障害は、現行の国際疾病分類「ICD-10」では診断名が収載されていないため、現在は「その他の習慣及び衝動の障害」と診断せざるを得ない。治療に保険が適用されるため、患者の負担はいくらか減っているものの、病院側の負担は小さくない。

「この記載では疾病扱いにならないため、診療報酬が安く設定されてしまいます。ゲーム障害の治療は、1人1人に時間をかける必要があり、病院側の負担が大きいのも実状です。国内で相談・治療できる医療機関が少ないのには、こうした背景もあります」

今回病名が付いたことで、「診療報酬は他の疾病並になるはず。研究や調査を行う根拠も出来ます。これによって実態の把握も可能になります」と言う。

「ゲーム依存の問題を国が認識し、医療機関を増やすよう取り組むべき」

ゲーム障害の予防には、プレイ時間を決めるといった個人の努力も必要だが、「社会や国で出来ることも多い」と樋口医師は話す。

「まず、インターネットの負の側面を学校で教育していくことが必要です。それから、ゲーム依存の問題を国が認識し、医療機関や相談機関を増やすために推進していく必要もあります」

樋口医師によると、韓国では、16歳未満は夜中12時から朝6時までネットに接続できない仕組みになっているという。「効果があるかはわからないが、もし有効なら、日本でも検討するべき」と主張する。

「それから、ゲーム配給側の自己規制も検討していただきたいと思います。とはいえ、この点に関しては、政府に主導してもらうしかないのではないでしょうか」

ゲーム障害を巡ってはBBCが6月21日、心理学の専門家から「追加は時期尚早だ」とする反対意見が出ているとも報道している。今後も国内外で議論が続きそうだ。

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