落合陽一が語るAI時代の生き残り方 大事なのは「自分の収入と生み出している価値の差をしっかり把握すること」
8月6日に放送された『深層NEWS』(BS日テレ系)では、”現代の魔法使い”と呼ばれている筑波大学准教授の落合陽一氏が出演し、AI時代の生き残り方などを解説した。(文:石川祐介)
「AI時代を生き抜くキーワード」を聞かれた落合氏は「若さ=熱量と体力」と回答。この理由について
「予測不可能なことをするやつは良いです。予測不可能なことをするのって”熱量”がないとできない。あと、予測不可能なことをしてもやりきる”体力”がいるので」
とAIのスキルが及ばない考えや行動ができることが、生き抜くためには必要であると語る。落合氏の言う”若さ”は、「フットワークの軽さでも良いのかもしれない」といい、既存の概念に縛られず、柔軟に考え行動できることと説明。必ずしも年齢的なものでないようだ。
「自分がしている仕事に対してもらっている対価が安いっていう状況は往々に存在する」
また、視聴者から「生き抜き方より生き残り方を教えて」という質問が寄せられる。落合氏は
「今、自分が得ているインカム(収入)と実質的に出している価値の差をしっかり把握することじゃないですか」
と主張。「自分がしている仕事に対してもらっている対価が安いっていう状況は往々に存在する」と安く働かされている労働者は多いと話し、今後は自分の仕事の適性価値を見極めることが重要になってくるという。
続けて、「(独立することの)限界費用は下がってる」と口にし、
「(会社に)乗っかっていたほうがいい人と独立したほうがいい人の差って明確にわかるはずなんです。で、独立した時にそれを維持するコストが安いから、そこを考えていくのは重要」
と独立も視野に入れながら仕事をすることも今後は必要になってくると話した。
「人の100倍効率的なプログラミングを書ける人は死ぬほどいる」
さらに落合氏は、時代が進歩すれば既存のスキルはテクノロジーに簡単に代替えされてしまうと話し、
「もっとコアなものを、もう一回大学に学びに行かなければいけない、というのはあり得る話なんですよ」
と語る。そして、”知的生産能力”を持っているかがビジネスパーソンの大きな価値指標になると考えているようで、
「知的生産能力って大学とかで学び直さないと出てこないようなものだったりするわけじゃないですか?」
と生涯学び続ける必要性を語った。
また、プログラミング教育が2020年から小学校で必修化されるが、このことに落合氏は「ここは結構やばいっすよ」と表情を滲ませる。
その理由について、「マスを埋める計算をやってたら、人の100倍早い人って滅多にいないじゃないですか? だけど、人の100倍効率的なプログラミングを書ける人は死ぬほどいる」と説明。プログラミングは能力差が顕著に出てしまうようで、
「この子さえいれば残りの29人、いなくていいじゃんってなっちゃう。それは今の社会に如実に現れている、ということをどう教育の枠組みで教えるか」
と語る。さらに、AIのスペシャリストを目指すのであれば数学は必須だという。「数学って(学ぶことを)止めたところで終わっちゃう。大学入ってから数学できないと、全然使い物にならない」と数学を学び続けることの重要性も指摘していた。