【新潮45】迅速な休刊は正しかったのか 作家・泉美木蘭「自己検証の号を出してもよかった」「言論の場ということを考えてほしかった」
作家の泉美木蘭さんは「言論の媒体であるなら、自己検証を一度ちゃんとやる”号”を出しても良かったのかなって思う」と、早急な休刊の判断に疑問を呈する。批判された論文の妥当性や整合性を検証する記事を、再度掲載すれば良かったと主張した。
「一つの雑誌がなくなるってことは、それだけ表現する場所がなくなってしまうことなので、慎重に考えたほうが良い。急に『休刊です』ってするよりは、言論の場所ということを新潮社には考えてほしかった」
ただ、司会の堀潤さんは
「最近、出版仲間やメディア関係者と話した時に、『雑誌は発信のプラットフォームだから無くすべきじゃない』っていう意見がある一方で、『別に新潮45をなくしても、新潮社が別の媒体で継承すればいいじゃないか』という議論も出てきてる」
と様々な意見があることを紹介。「本体を守るためにこれを切ったのかな」と『新潮45』にネガティブなイメージが付きすぎたため、切り捨てたのではないかと推測した。
若新雄純「『生産性』の話は自己主張のために利用された面も否めない」
一方、慶應義塾大学特任准教授の若新雄純さんは、そもそもの話として「(8月号の杉田議員の)生産性の話の部分に関しては、いろんなことを主張している団体の人が、やんややんや言うキッカケに使われた」と考察する。
「紙面があった訳だから、ゆっくり読むなり、続編のこれがおかしいとかなればよかったけど、最後のほうの世の中を見ていると中身が読まれてなくて、これをキッカケに『私はずっとこれが言いたかった』『それみたことか』みたいなことを色んな人がわーわー言い出した」
こうした状況を見た新潮社が「『お金も回らないしやめておこうかな』となったんじゃないか」と騒動を俯瞰した。
一連の騒動は、LGBTに関して議論を深める前に、多くの批判が巻き起こり行き先が見えなくなってしまった。早急な休刊に歯切れの悪い思いをしている人は多そうだ。