勝間和代が密着取材のドタキャン経験を語る 「テレビ制作者が欲しかったのは、発達障害の人がパニックになっている映像だった」
「私、ADHDという、不注意とか多動性の障害がありまして、それを皆に知ってもらう活動をやっていたんですよ」と語る勝間さん。周知活動の一環で、30分ぐらいのドキュメンタリーを作ることになったという。
密着取材で何日も勝間さんと一緒にいたというテレビスタッフは、発達障害を正しく伝えることよりも、「テレビ的においしい」場面が欲しかったようだ。勝間さんは、「発達障害というのはいろんな種類があるんですけど、私の障害をもっと、パニックを起こすという障害にしたかったんです」と、テレビ制作側の意図を語った。
「何日やっても私がパニックを起こさないので、わざとパニックを起こすように仕掛けたり、あるいはそういうやらせをしようとしたんで、さすがにちょっとそれはひどいと」
勝間さんは何度もADHDについて説明したが、分かってもらえなかったという。
「こういう画像が欲しいんですよっていうのが、他の番組がやっている発達障害の方の『パニックになっている映像』だったんです。それで、やめてしまいました」
「ADHDはパニックを起こすもの」という間違った概念を広める恐れ
勝間さんが言うように、発達障害にはADHDの他にも「自閉症」や「アスペルガー障害」、「限局性学習症」など様々な種類がある。
テレビでADD(注意欠陥障害)を告白した栗原類さんも、発達障害は”脳のクセ”であり、「人によって障害内容は異なりますが、早期に気が付き、環境を整え、正しく対処をすれば、ある程度の訓練で変わることができます」と自著『発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由』(KADOKAWA)で説いている。
こうして、まずはどういうものか一般に理解を広めることが、偏見をなくすことにつながるだろう。しかし、前述のテレビスタッフのやり方では、「ADHDはパニックを起こすもの」という間違った概念を広めかねない。話を聞いた他の出演者たちは、「酷いですねえ」と憤り、「それはやめていい」と結論づけていた。
司会の蝶野正洋さんも、テレビでは似たような経験をしたと語る。蝶野さんを恐妻家に仕立てたかったらしく、試合でケガをしたのに奥さんにやられたことにされた。幸い放送前に止めることができたが、新聞の告知欄はその部分だけ空欄になったという。これも、ドタキャンして正解の場面だろう。
沢田研二さんのドタキャンに関しても、自身のプライドのため、間違っていると感じることには直前だろうがなんだろうが、NOを突きつけるところは共通しているかもしれない。