暴言に土下座要求、日本の「カスタマーハラスメント」に厚切りジェイソン「アメリカでは店員は対等な立場」
流通・サービス業の従業員による労働組合のアンケート調査では、回答した8万人うち7割が、客からの過剰なクレームに苦しんでいた。最も多いのが、「暴言」や「恫喝」だという。
「居酒屋で『靴が見つからない』と怒った客に朝まで正座をさせられ、靴代も弁償」
「弁当を買った客に『たれが車にこぼれた』とシートの洗浄代2万円を要求された」
「女性従業員の体にしつこく触る客に困り、警察を呼ぶと、逆恨みしネットで名前を公開された」
など、酷い事例が次々に上がった。
スーパーのレジ係を務める女性は、ごく普通の中年女性がいきなり怒鳴り出したことを振り返り、「お客様のキレる視点が、ちょっと昔とは違う。『ごもっともです』といえる内容でない部分でキレられる」と脅えていた。組合では、こうした過剰なクレームで精神疾患になった人が600人近くに上るとしている。
こうした事例に対し、厚切りジェイソンさんは、「アメリカではカスタマーハラスメントは聞いたことがない」と語る。
「店員さんが抵抗するからだと思うんですよね。こういう変なことを土下座しろと言われても、『いや、それ関係ないでしょ、やりません』と思い切ってやれる」
そのため、ハラスメントにまでは繋がらないとしていた。会社の手前強く出られないという心配には、
「上司に説明すれば誰も怒らない」
「日本でも誰も怒らないと思いますけど、それでも現場では断れない人はまだ多いんですね」
と感想を述べていた。確かに理不尽なクレームは断るのが当たり前だが、日本は我慢して謝ることが通例になってしまっている。
悪質な客か良い客か「どちらを大事にするのかは会社が決めなくては」
しかし、どんな客にも謝る姿勢は却ってクレーマーを助長させてしまう。関西大学の池内裕美教授は、「過剰サービスによる過剰期待と呼んでいる。やってもらって当たり前、過剰サービスが私たち日本人の標準になってしまっている」と解説。「格差の問題」もあると指摘する専門家もいた。
ジェイソンさんは、「アメリカでもそういう現象(格差)自体はあるんですけど」とした上で、
「アメリカだと(客が)店員を自分より低い立場と思っていない、対等な立場だと考えている」
と話した。日本では何故か「お金を払う方が上」という意識がまかり通っているが、本来は店員と客に上下関係などないのだ。この話に共感した視聴者は多かったようで、ネットではジェイソンさんの言葉を紹介する様々なツイートが拡散していた。
不当なクレームをつける人を減らすには、悪質な客を「会社が断らないといけない」と説くジェイソンさん。ずっと対応してしまうと消費者がやり続けるため、「(企業が)それをやらせてるようなもの」と指摘する。
「クレームをつけている人に対応してる間に、より良いお客様を、3~4人分は対応できなくなっている。どれを大事にするのかは会社が決めないといけない」
と、企業が客を選ぶ姿勢の大切さを語っていた。
深刻化するカスタマーハラスメントに対して、国も実態調査に乗り出し、法整備が必要か今年から検討を始めている。多くの企業が「悪質な客よりも従業員が大切」という方向に、舵を切ってもらいたいものだ。