8割の企業が「パワハラ対策を実施」 一方で「社員に当事者意識が欠如」という声も
アドバンテッジ リスク マネジメントは1月28日、「パワーハラスメントに対する対策への取り組み状況・政府が推進する法案に対する意識」に関する調査結果を発表した。調査は昨年12月に実施し、ルマガ会員のうち、ハラスメントの取り組みに関わる企業・団体の担当者268人から回答を得た。
パワーハラスメントにおける対策について聞くと、79.9%が「実施している」と答えた。従業員規模別で見ると、2000人以上の企業・団体は90.6%が実施していることがわかった。
「言い出したくても、報復を恐れ言い出せないということが無いか」と懸念する声
現在実施しているパワハラ対策について「十分である」「概ね十分である」とする回答と、「やや不十分である」「不十分である」とする回答はともに約4割だった。業種別で見ると、製造業は「やや不十分である」「不十分である」の割合(46.7%)が高い傾向にあり、非製造業(33.1%)と比較すると13.6ポイントの差が開いた。
現在実施しているパワハラ対策が「十分である」と考える理由を聞くと、「できることはやり尽くした」という回答が目立った。
一方「やや不十分である」「不十分である」と考える理由を聞くと、「成果が出ていない、社内に浸透していない」「パワハラに対する個々の認識に差がある、当事者意識が欠如している」「仕組みが整っていない、形式だけにとどまっている」「把握できていない事例への懸念がある」といった意見が挙がった。
具体的には、以下のコメントが寄せられた。
「管理職の理解、認識が足りない」
「社員に当事者意識がない。パワハラは極端なものだと捉えているから」
「加害者への対応(処罰)が不十分で実際に同じ加害者による再発がある」
「相談先が限られている」
「言い出したくても、報復を恐れ言い出せないということが無いか」
厚労省の「パワハラ防止措置の義務化」に約7割が賛成
次に、「厚生労働省が示すパワハラ防止措置の義務化」について賛否を聞くと、68.7%が「賛成」と答え、「反対」(4.1%)を大きく引き離した。賛成派に理由を聞くと、「国による共通指針の明確化」や「意識の浸透」を希望する回答が多い。
具体的には、
「パワハラが教育と混同されていることのほうが多く、根深い問題。政府がしっかり指針を示してくれたほうがいい」
「義務化されると、経営層への説明がしやすくなるから」
「一定の拘束力があった方が、社員にも納得性が高くなると思うから」
「政府の規制が基準となって、意識が浸透していくと思う」
といった声が挙がった。
一方「反対」する理由として、「パワハラへの過剰反応」や「画一的な指針策定」を危惧する意見が寄せられた。