液体ミルク解禁で育児はどう変わる? 「母親の負担を軽減し父親の育児参加を促せる」と識者
江崎グリコは3月11日、日本初の乳児用液体ミルク「アイクレオ赤ちゃんミルク」の店頭販売を開始した。災害時、お湯を沸かせないため粉ミルクを作れず困ったという話はよく聞く。液体ミルクが普及すれば、場所を選ばず赤ちゃんに授乳することが可能になる。
世間では母乳神話が囁かれているが、液体ミルクの登場で、授乳に対する考え方は変わるだろうか。11日の「モーニングCROSS」(MX系)では、大正大学准教授の田中俊之氏(男性学)が母乳と液体ミルク併用によるメリットを説いた。(文:石川祐介)
完全母乳育児は増加 スマートフォンの普及が影響?
母乳は赤ちゃんに与えることで、赤ちゃんのアレルギー疾患の予防につながるなどと言われているが、厚生労働省は8日、「授乳・離乳の支援ガイド」改定に関する研究会で、母乳によるアレルギー疾患の予防効果は「ない」と明記することを決めている。「粉ミルクの肥満リスクもない」という。
にもかかわらず、2005年から2015年の間で粉ミルクを併用しない”完全母乳”で育児をする人が急増している。田中氏は、背景にスマートフォンの世帯所有率が上がったことがあると推測する。
スマホ普及率が上がった2010年以降、困った時にスマートフォンで検索することが当たり前になった。ネットの不確かな情報に振り回され、完全母乳にする人が増えたという見方だ。
「(ネット検索して)安心できたことがあるか考えてほしいんです。より不安になるんですよね。日頃から情報に振り回されないことが大事」
「子供は叱って育てろ」「叱ると犯罪者になる」など、ネット上には極端な育児情報も蔓延している。こうした情報に振り回されないためにも、情報の根拠を確かめることが求められる。
「災害時に使うようなものを普段から生活に取り入れることは大事」
田中氏は母乳と液体ミルクを併用することのメリットとして、父親が授乳できることを挙げる。
「母親の負担を軽減できる。特に夜泣きで起きないお父さんは多い。世界の拷問で寝かせないという拷問がたくさんあるように、寝ないってとても辛い。あと、子供とのコミュニケーションでもメリットがある」
完全母乳を止めると母親の育児負担を減らすことができる上、父親が子供と接する機会を増やすことが期待できる。粉ミルクでも同じ利点はあるが、お湯を沸かしたり冷ましたり溶いたりと手間がかかるため、液体ミルクの使用が楽だという。
「今言った2つのことって災害時にもつながることなんです。日頃から情報に振り回されないようするってことと、災害時に使うようなものを普段の生活から取り入れておくってことがとても大事」
いざという時のために、変えられるところは積極的に変えたほうが良さそうだ。