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「財閥の不祥事」が続出する韓国 またもや「特別恩赦」が与えられるのか?

数年前の経済成長がウソのように冷え込んだ韓国。2014年2月9日の「未来世紀ジパング」(テレビ東京)では韓国国民の怒りの矛先を探るべく、ソウル市内で100人に「怒りに思っている事」をアンケート調査した。

1位はなんと財閥問題で、大韓航空の「ナッツ姫」に対する市民の厳しい声も聞かれた。12日に下された「懲役1年」の実刑判決の直前の話だ。

「趙顕娥(チョ・ヒョナ)は、財閥の娘というだけで昇進しました。でも行動を見たら能力を持っているとは思えず、腹が立ちます」

「再雇用する」と呼び出し元社員をバットで殴る事件も

ナッツが引き金に

ナッツが引き金に

アンケートの中で、サムスン会長の息子の脱税疑惑をあげる人もいた。韓国では10大財閥だけで国のGDPの75%を占めており、1位のサムスンだけで24%だ。日本最大の企業トヨタ自動車が日本のGDPの4%と聞けば、その強大さと危うさも分かる。

特に戦後創業者の孫に当たる「財閥3世」への風当たりは冷たい。先日も財閥3世の令嬢たち3人がベーカリー事業に参入し、1000店舗以上のチェーンを展開する騒ぎがあった。

これには、街の小さな店舗の怒りが爆発。わざわざ店の近くに開業して営業を逼迫させたsとして、大規模な抗議運動が起こった。これを受けて、政府は財閥の参入を規制。令嬢たちはやむなく手をひいた。

韓国大手新聞は、格差の象徴として「財閥3世は平均28歳で入社し、31歳で役員に昇進する」と報じた。かつて韓国政府は財閥を集めて高級住宅街を作り、チョ・ヒョナの実家は政府に与えられた推定10億円の豪邸だという。

さらに驚く事件もあった。韓国第3位の大手財閥SKを「不当解雇された」と抗議していたトラック運転手のユウさん(56歳)は、ある日「再雇用する」と呼ばれて会社に行くと、待っていたのは財閥2世のチェ・チョルウォン氏による暴行だった。

「チェ氏は野球バットで殴りながら、私に回数を数えるように言ったんです。『手切れ金として、1発10万円だ』と小切手を切りながら殴り続けた」

世襲の問題点を是正する文化がない?

ユウさんは当時をこう振り返り、尻の皮膚に血がにじんだ生々しい写真を見せた。チェ・チョルウォン氏は謝罪を表明したが、暴行容疑で逮捕されて懲役1年6か月の判決が下った。こういった状況をジャーナリストの竹田圭吾氏は、こう分析する。

「世襲が悪いというよりも、帝王学をきちんと施していない。世襲に付きまとう問題点を是正するような企業カルチャーを醸成する仕組みが、韓国の実業界や社会にない」

政府は財閥を保護しようとする背景には、その強大な影響力がある。サムスンの李健照会長は脱税などで有罪判決を受けたが、冬季オリンピック招致活動に向けて李明博大統領が特別恩赦を与えた。

現政権の朴大統領も、さまざまな問題で服役中の多くの財閥トップを「大統領の恩赦」で釈放しようとしているという。彼らが経営の最前線に戻ることで財閥の業績が上向き、経済の回復に一役買うという狙いだそうだ。

しかし誘致に成功した2018年の平昌(ピョンチャン)冬季オリンピックも、競技会場の新規建設費の7割を地方自治体が負担させられ財政を圧迫している。

建設予定地を訪ねると未着工が多く、IOC(国際オリンピック委員会)からは、長野県との共同開催案さえ出たこともある。ここ数年の国際的なイベントはほとんど赤字事業で、オリンピックも税金の無駄遣いという批判が出ている。

日本も「人の振り見てわが振り直せ」では?

現在の朴政権の支持率は、就任以来最低の30%を切った。ここで「経済回復のために財閥トップに恩赦を」といわれても、経済格差が広がる中で国民は簡単に納得するだろうか。

しかし、なぜ財閥が韓国でここまで勢力を広げているのか。儒教が人々の身分意識やお上意識を助長し、独裁を許しているという見方もある。判決や恩赦が「国民感情」に左右されすぎていて、韓国には法の支配がないという辛口の批判もある。

ただ日本でも、大王製紙の創業家3代目が100億円を超える会社のカネを引き出した事件があったように、文化的な土壌は日本も似ているところがある。竹田氏が指摘する「世襲に付きまとう問題点を是正する」文化やしくみづくりが、日本のオーナー企業でも大事だと感じた。(ライター:okei)

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