削除された記事は元々、4000字ほどあった。京アニの事件を「あまりに痛ましい」としながらも、「アイドルやアニメは、そのマーケットがクリティカルな連中であるという自覚に欠けている」と指摘するなど、事件の容疑者の肩を持つような表現もあった。
京アニの主力作品が学園物になったのは『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の制作に携わったことがきっかけという見方を示した。また、次回作の公開に追われ続けてきた同社の作品について「内容が似たり寄ったりの繰り返し」と評した上、
「そもそも創立から40年、経営者がずっと同じというのも、ある意味、呪われた夢のようだ。天性の善人とはいえ、社長の姿は『BD』(編注:ビューティフル・ドリーマー)の『夢邪鬼』と重なる。そして、そうであれば、いつか『獏』がやってきて、夢を喰い潰すのは必然だった」
と表現していた。
最後の段落にある「この業界自体、作り手たち自身がいいかげん夢から覚め、ガキの学園祭の前日のような粗製濫造、間に合わせの自転車操業と決別する必要がある」から推察するに、全体としては京アニの放火事件を下地に、業界が抱える問題を指摘した上で、業界のあり方に疑問を投げかけたかったものと思われる。
しかし、放火事件の犠牲者達が、容疑者に襲われるだけの理由があったとも読める内容や、犯行に及んだ容疑者の肩を持つような表現が多く、大きな批判につながった。
「記事表現の管理とその後の対応、行き届かなかった」
大阪芸大の卒業生でイラストレーターの中村佑介さんは24日、自身のツイッターで
「思うことは自由ですが、いま口に出すべきことではありません。大阪芸大卒業生として恥ずかしいです」
と記事内容を批判した。記事を掲載していたINSIGHT NOW!は25日夕方までに、サイトトップに
「今回一部の記事に不適切な表現があったことをお詫びいたします。運営事務局として、記事表現の管理とその後の対応に対して、行き届かなかったことを重ねてお詫び申し上げ、改善を図ってまいります」
という声明を掲載している。直接言及はしていないものの、当該の記事を指すものと見られる。