新型コロナウイルスによるパンデミックを防ぐべく、厚生労働省は「新型コロナウイルスの集団感染を防ぐために」という資料をウェブ上で公開している。
感染を拡大させないために、換気が悪く、人が密に集まって過ごし、不特定多数の人が接触するおそれが高い場所に近づかないように指示しており、例として、スポーツジムや屋形船、ビュッフェスタイルの会食、雀荘などを挙げている。
これに、あとは満員電車やライブハウスなども加わるはずなんだけど……なんか足りない?
そう、肝心のアレ。あのレジャー施設の名が挙がってない。全国に数千軒も存在するパチンコホールである。
しかしながら、当のパチンコホールは、厚労省が指摘する前から動き出した。この業界が非常に腰の重い業界であることを知る人たちは、それが例え「やってますよ」アピールでしかないとしても、一応何かやろうとしていることに対し、驚いているんじゃないだろうか。(文:松本ミゾレ)
“不要不急”の用事で不特定多数が出入り、ハンドルやレバーも気になる……
一部報道によると、北海道の各方面遊技事業組合が、新型コロナウイルスの感染予防対策として、営業時間の短縮をはじめとする道内パチンコホール一律での取り組みを決定した。
3月9~19日までの間、1営業日につき営業時間を最低2時間以上短縮する。さらに、営業時間帯も10~22時に限定された。北海道では、9~23時の14時間営業が通例。しかし、この取り組みによって、多くの店舗で営業時間が12時間になる。
それでも、半日は店を開けているということになり、正直これだけでは「ちょっと対策として弱いかなぁ~」という気もしないでもない。
ましてや、パチンコホールって不特定多数のユーザーが朝から晩まで自由に出入りできるし、しかもハンドルやレバーも色んな人が代わる代わる触れていく。感染リスクを考えると、たとえハンドルをこまめに消毒したところで、どうなのだろうと素人目には映ってしまう。
だけど、重要なのはこういう対処をまず北海道の全ホールが見せたことだ。3月7日には、大阪府堺市にあるパチンコホールに新型コロナウイルス感染者が訪れていたことを受け、その店舗が臨時休業、店内の消毒作業を実施したという報道もある。こうした事態になるのを未然に防ぐための営業時間短縮という決定がなされたのだろう。
「店が開いてるから行く」のがパチンコユーザー
ちなみに、既に全国各地のパチンコホールで独自の取り組みも始まっている。具体的には、ユーザー宛てのDMやチラシ発送、営業に関するLINE通知やメールの停止などがこれにあたる。
「え? それだけ?」という気もしないでもないけど、これってほんの数年前ではなかなかなかった対応だ。
また、北海道の件を受けてか、千葉県でも一部のパチンコホールが営業時間の2時間短縮を決定している。営業時間の短縮は今後も各地のホールが追随すると考えられる。
従来のパチンコホールの非常時対応と比較すれば、破格の取り組みではあるものの、それでも根本的には「臨時で閉店できないものか」という思いもある。極端な話、パチンコユーザーは「店が開いてるから行く」ぐらいのフランクな気持ちで出入りしてしまう部分もある。元々そういう依存症気味の人たちが行くところだし。
だからこそ、ここはこれ以上の感染を防ぐためにも、苦しいところだけど他の業界にならって、ここは臨時で営業を見合わせるという決断はできないものか、と歯がゆい思いを抱いてしまう。スポーツジムなんかも休業しているわけだし。
第一、感染によって重篤化しやすいのは高齢者。その高齢者がメインユーザーなのが今のパチンコホールなんだから。それに、どれだけ店を開ける時間を短くしても、不特定多数のユーザーが不要不急の用事で出入りする状況は変わらないのだ。