小倉さんが問題にしたのは、収入の高い人のほうが30万円の給付金を受け取れる可能性が出てくるという点だ。番組の解説によると給付条件は、世帯主の2月から6月にかけて減少した月収が、次のいずれかに該当する場合だ。
(1)月収が減少して、年収にすると住民税非課税水準(住民税を課税しない低所得)まで下がった。
住民税非課税水準とは(東京23区の場合)
「単身:100万円、扶養家族1人:156万円、扶養2人:205万円、扶養3人:255万円」
(2)月収が半減して、年収にすると住民税非課税水準の2倍以下まで下がった。
住民税非課税水準の2倍とは(東京23区の場合)
「単身:200万円、扶養家族1人:312万円、扶養2人:410万円、扶養3人:510万円」
こうした前提を踏まえた上で、月収20万円と40万円の単身者を例にすると、次のようになる。(筆者注:便宜上A~Eとする)
【以前の月収が20万円(年収240万円)の場合】
Aさん:月収が8万円(年収96万円)に減少→もらえる(年収が基準以下のため)
Bさん:月収が11万円(年収132万円)に減少→もらえない(年収が基準よりも上のため)
【以前の月収が40万円(年収480万円)の場合】
Cさん:月収21万円に減少→もらえない(収入が半減していない)
Dさん:月収17万円(204万円)に減少→もらえない(収入は半減しているが、年収が基準の2倍より上)
Eさん:月収16万円(192万円)に減少→もらえる(収入が半減以下、年収が基準の2倍以下)
つまり、Eさんは、月収16万円でも「住民税非課税水準の2倍以下」という条件に当てはまり、もらえるのだ。
「これだと収入の多い人のほうが、少ない人よりも貰えるケースが出てきちゃう」
これに対して小倉さんは、説明していた伊藤利尋アナウンサーに、
「そうすると、収入の少ない人よりも、収入の多い人が貰えるケースが出てきちゃうんですよ。そうすると元々の収入の多さがこれに反映してこないですか?」
と問いかけた。「そうですね、でもそういう形になってます」と言う伊藤さんに対し、さらに語気を強めて、
「同じ単身者なのに16万円の月収の人がもらえて、11万の人がもらえないっておかしくない?」
「最低限の生活を送るためにいくら必要なのかって考えたら、これは平等じゃなきゃいけないと思うんだよね」
と意見を述べた。まず本当に困っている人を救済するという趣旨の給付金のはずなのに、矛盾しているという指摘だろう。高額所得者でも収入が半減以下になれば普段と同じ生活は出来なくなるが、同じ単身者の16万円が貰えて11万円がもらえないことに違和感を覚えるのはもっともな話だ。
これにコメンテーターの三浦瑠麗さんは、政府が用意している無利子・無担保で返済免除もある小口融資の「生活福祉資金貸付制度」を説明。まずはこれを利用して当面の生活を維持するよう薦めていたが、小倉さんは「その手続きだってすっごい面倒なはずですよ」と不満顔だった。
小倉さんは「一番簡単な方法は、とりあえず全員に30万配っておいて、後で確定申告をした際に戻してもらうのが一番簡単な気もするけどね」とも意見している。ネット上には、小倉さんが指摘した矛盾に怒る声や、「全員に配る」という提案に賛同する声が上がっていた。