県議会が発表した見解では昨年、「ゲーム障害」が世界保健機関(WHO)によって国際疾病に認定したことをはじめ、未成年者のゲーム依存を防ぐために指導を行うことは社会的コンセンサスを得ている、などと反論。したがって、立法事実が存在するとした。
また、自己決定権の侵害については、同条例が保護者に課しているのは「努力義務」に過ぎず、子どもに対しても直接の義務を課したり、何らかの禁止するものではないことを理由に、これに当たらないとしている。
見解では
「本条例の目的は、条例の時間を1つの基準として(中略)『家庭におけるルール作り』をすることを推奨するものであって、保護者に対する制約は著しく低い」
と説明。判断能力の未発達な子どもに無制限にゲームをさせ、子どもが学習する上で前提になる知性・精神に致命的な影響を及ぼす危険性があるなどとした上で「得られる利益と保護者に対する制約とを比較した場合、前者が上回り、本条例に違憲性がないことは明白」とした。
さらに、県弁護士会の声明で言及があった「子どもの権利条約」については、同条例が「むしろその精神を貴ぶもの」と反論した。条例の趣旨が、子どもの健全な成長かつ、自己の好奇心や創造性を高められるようにすることにあり、子どもの成長に悪影響になるゲームについてのルール作りを推奨するものと主張。したがって、同条約と矛盾するものではないという。
「『なぜこの条例が必要なのか』がわからなくなる」という声
条例に強制力はないので問題ない、子どもの権利もむしろ尊重している、という今回の反論内容。これにツイッター上では
「条例に強制力無いから憲法違反じゃないって詭弁すぎるだろ」
「『単なる努力義務に過ぎないから不利益はない』ってちょっと信じられない言い分」
と疑問を感じる人が相次いだ。
また、同条例がゲーム規制に強制力を持たないと主張したことで「読めば読むほど『なぜこの条例が必要なのか』がわからなくなる」と感じる人も。「結局これって家庭で決めましょうってこと?それだったら条例の意味なくね」と改めて条例そのものの必要性を疑問視する人もみられた。
同条例をめぐっては、1月に素案の報道があって以降、繰り返し話題になってきた。県内在住の男子高校生は「条例は憲法に反する」として県を相手に提訴する準備をしている。同県に続く条例制定を目指していた秋田県大館市は5月下旬、策定作業を一時凍結したと地元紙が報じていた。
【15時50分追記】
県弁護士会はキャリコネニュースの取材に対し、
「会長声明が理解されなかったことは残念」
とする見解を示した。今回の県議会の主張に対して、改めて何らかの反論をすることはないという。