一向に収束する気配のない新型コロナウイルス。ここ最近は連日都内だけで100人を超える陽性者が報告されている。”東京アラート”という言葉に失笑していたのもすでに今は昔。ふたたび首都圏では今一度の防疫意識の向上と徹底が求められつつある。
西村経済再生担当相は7月14日の記者会見で、東京を中心に感染者数が増加していることを受け、ホストクラブなどの接待を伴う飲食店について、感染防止のガイドラインを守っていない店舗に対し休業要請を出すことを検討していることを明かした。西村担当相は12日にも、一都三県を対象に休業要請を検討中であると語っていた。
埼玉県はすでに13日、感染防止対策が不十分なホストクラブなどに休業要請を出している。首都圏の飲食店当事者にとっては戦々恐々だし、「またか!」という話である。(文:松本ミゾレ)
もう一度休業要請となったら、今度こそ閉店ラッシュに繋がりかねないが……
7月12日時点の東京都の陽性率は6.1%。緊急事態宣言発令前が3割超だったことを考えるとそれだけ検査数が増えたってことなんだろうけど、市井の私たちにとっては不安もひとしおだ。5月20日ごろには陽性率も0.8%だったんだし。
今年の新型コロナ流行以降、さまざまな飲食店、レジャー施設の経営者に大打撃が加えられている。僕がひいきにしていた幡ヶ谷の飲み屋も、自粛ムードのさなかにこっそりと店をたたんでしまった。
都内では閉店を知らせる真新しい紙の貼られたシャッターを見ることも増えた。ホストクラブだけではなく全面的な休業要請と再度なったらかなり厳しい。
僕の周りにも「東京都や日本政府の対応が後手に回り過ぎて、飲食店が割を食っている」なんて発言をする人も多い。ただ、擁護するわけではないけど、政府も都も前例のない感染症対策を強いられるうえで、後手後手とは言えそれなりの努力はしているんじゃないかとも思う。
それは休業要請の検討も含めて、である。だってこの後には、お盆が控えているんだもの。お盆と言えば帰省ラッシュだ。
間もなく控えるお盆の帰省ラッシュ、今が最後のチャンスか?
今年は帰省する人の数も例年よりはかなり少ないことだろう。でも首都圏から帰省する人が絶対にいないとは言い切れない。であるならば、ここは苦しいところだけど、お盆までに感染者数を抑え込まなければならない。でないと地方で感染拡大してしまう。
まだ感染が確認されていない県もある。そういったところに陽性者が帰省したら、これまで地方は地方なりにやってきた努力も水泡に帰すこととなる。それは避けたい。
現状ではまだ地方ではそこまで大規模なクラスター感染も生じていない。だから苦しいところだけど今後も首都圏で感染者が増加していくのであれば、休業要請も道理としては理解できる。
自粛自粛でいい加減うんざりという空気はビンビンに感じるけど、ここはもうひと踏ん張りしてもいいんじゃないだろうか。無論、本来そうするならもっと休業要請先への手厚くて迅速な補償が必須なんだけど。いかんせん前例のない事態なので、まだ煮詰まっていないのかもしれない、と思いたい。