上場企業の財務諸表から待遇を探る「これだけもらえる優良企業」シリーズ。今回は、流通小売業システムに特化した独立系プライムSIerのヴィンクス(東証一部、本社・大阪市)を取り上げます。
ヴィンクス社員の平均年収は548万円
最新データ(2019年12月期)によると、ヴィンクス社員の平均年間給与は548.6万円。ここのところわずかですが上昇傾向にあります。
- 2018年3月期:544.1万円
- 2018年12月期:546.8万円
- 2019年12月期:548.6万円
この額には、賞与や基準外賃金(手当など)も含まれています。
企業口コミサイト「キャリコネ」へ投稿された給与明細によると、36歳男性管理職コンサルタントの年収は980万円。役職手当が月15万円、年2回の定期賞与は計200万円とのことです。
勤務時間については「特に問題を感じていない」とのこと。「法令遵守は徹底している」「福利厚生は一般的なシステムインテグレーターと同じ」としています。
ヴィンクスは2018年に決算月を変更しているので、2018年12月期は変則決算(9か月)。2018年3月期と比べると、2019年12月期の売上高は16.9%増、営業利益は32.2%増えています。
2020年12月期の通期業績予想は、新型コロナ禍の影響で一部受注遅れが発生しているものの、売上高が前期比3.2%増、営業利益が同3.0%増の増収増益となる見込みです。
ヴィンクス社員の平均年齢は38歳
次に、従業員数と平均年齢、平均勤続年数(ともに単体)を見てみましょう。
ヴィンクス社員の平均年齢は38.3歳。ざっくり言うと、30代で500万円台半ばをもらっている人が多いということでしょうか。新卒採用などで若手が増え、平均勤続年数が短くなる中で、平均給与が増えているところは注目です。
- 2018年3月期:1,047人(38.7歳・12.1年)
- 2018年12月期:1,093人(38.1歳・11.6年)
- 2019年12月期:1,111人(38.3歳・11.8年)
ヴィンクスは「情報関連サービス事業」の単一セグメントですが、事業は4つの分野に分けられます。各種業務システムの企画開発を行う「ソリューション分野」、パッケージソフトウエアの開発・販売を行う「プロダクト分野」、顧客企業の情報システムインフラの運用・管理・保守などを請け負う「アウトソーシング分野」、ハードウエア販売などの「その他IT関連分野」です。
2019年12月期の売上高は、ソリューション分野が106億円、アウトソーシング分野が96億円、プロダクト分野が29億円、その他IT関連分野が67億円でした。
主要な顧客ごとの売上高は、イオングループのITインフラ、システムを担うイオンアイビスが47億3471万円、食品スーパーマーケットとして首都圏最大規模を誇るマルエツが35億8450万円です。
このほか、ドラッグストアチェーンや大手100円ショップ、大手家具・インテリア専門店などとの取引もあり、最近は次世代型ECプラットフォームの提供でセールスフォース・ドットコムとの提携が発表されています。
「無人店舗」などの新領域を支える
ヴィンクスが事業領域とする「流通系ITシステム」には、コロナ禍の影響もあって今後非常に大きな変化が予想されています。
「無人店舗・省人化・決済技術」や「ネットとリアルの融合」、AIによる来店客数予測などの「スマートストア化」など、ITシステムがビジネスを変える可能性があります。
ヴィンクスの中途採用サイトには、システムエンジニア(人事系・会計系・流通系・カード系など)とインフラエンジニア、営業の求人が掲載されています。
事業所は大阪・堂島浜の本社のほか、東京・幕張・仙台・名古屋・松山にオフィスがあり、中国・ASEANにも拠点を設けて海外展開もしています。新しい技術を使った変化のある仕事をしたい人には、魅力的な職場となるかもしれません。
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