この投稿にはさまざまな意見が寄せられたが、目立ったのは「兵役の例えはしっくりくる」といった共感の声だ。
「いやもうほんとそれ、兵役に近い。育休じゃなかったわ、むしろ365日休みなしだわ、復帰したけどますます休みなしだわ」
「男だけど1か月の育休ずっと、娘と奥さんを抱えて24時間戦闘態勢だった。職場復帰したら『ゆっくり休めた?』と笑顔で言ってきた同僚(50代男性)が2人いて殺意が湧いた」
などと実際の育休取得者からの経験談もみられた。
厚生労働省によると、男性の育児休業の取得率は6年連続で上昇しているが、女性の82.2%に対し、男性はわずか6.16%。肩身が狭くなりがちな少数派の立場が容易に想像できる。
育休中は、確かに会社の仕事はしていないのだが、むしろ仕事をしているとき以上に大変なことが多い。筆者も子育て経験があるので「休み」と言われては心外な気持ちはよく分かる。
コメント欄には、実態を正確に表すための、新しい”名称案”も次々に上がった。
「育務とかもいいかも。励んでそう。育勤?」
「就育かな」
「それこそ兵役どころか育児戦争…いや、育児闘争にすればええやん。」
ちなみにツイッターでは「育労(育児労働)」などの意見も。いずれも「育児を頑張っています」とアピールしたい気持ちが伝わってくる。
「育児は国のためにするものじゃない」という異論も
一方、育児や育休を”兵役”に例えることには、異論も多数出ている。
「『役』って国から強いられる労働って意味なんだけど、わかってる? 懲役、兵役、労役」
「親だけど兵役は無いわ。国のために義務で仕方なくやってるんじゃないし」
「育児は本来嫌々する事じゃないから、兵役とは違うかなぁ」
「兵役に近いって言ってる人達の何人が兵役経験しているのかね?」と書いた人は、こうした言葉遊びより、制度を整えるほうがよっぽど重要だとたしなめている。人は基本的に、国や少子化対策のために子どもを産み、育てるわけではないのだから、この意見はもっともだ。
だが、育児という「人命に係わるハードな仕事を軽んじてほしくない」という意味で、ワードとしての”兵役”が強い共感を呼んだのだろう。「子どもは社会の宝」とよく言われるものの、会社の同僚や身内以外の人からは「あなたの子どもでしょ」と個人の身勝手として扱われることが多い。
これは、小泉環境相の育休取得についても同様。称賛の声がある一方で「一般会社員は休みたくても休めない」「取るなら大臣はやめるべき」といった批判もおびただしい。
コメントの中には「有給休暇も含めて、いつから休むことが悪となったのか」と問う声も。こうして、何とか良い言葉を探す行為自体に、多くの人が休むことに対する罪悪感を持っていることがうかがえる。まずは、そう感じてしまう風潮や環境を、変えていく必要があるだろう。