同事業は少子化対策を目的に、都が2018年度から取り組んでいる助成金事業。通常は、認定事業者に頼むと1時間あたり2000円ほどかかるベビーシッター料金だが、これが150円で済む代わりに差額分を雑所得に含むことで翌年の所得税が増える。年収200万円の場合は、毎月4万3800円増えることになる。
東京都によると、本年度の同事業利用者は、昨年11月末時点で250人。ネット上で話題になっていることもあり、都福祉保健局には現在、事実確認をする問い合わせが相次いでいるという。担当者は
「翌年の所得税が増えることはサイト上で公開している利用案内パンフレットや利用約款にも記載があり、制度利用を希望される際に必ずお話する内容なので、利用者に知らない人はいないと思います」
とコメント。ネット上で指摘されていた”後出し”には当たらないという。だが、差額が翌年になって課税されることから「確かに分かりにくい部分はあるかもしれませんね」と理解を示し、
「トータルで見れば、助成を受けたほうが安く済みます。事業を正しく理解した上で、安心してお使いただけたら」
と呼び掛けた。
親が年収200万円だと月30万円以上の支援になる計算
試しに、都のモデルケースにもなっている年収200万円の親が「1日8時間×月20日=160時間/月」をベビーシッターに依頼するとして計算。利用料金が認定事業者の上限料金となっている1時間2400円(税込)だとすると、
「2400円×160時間=38万4000円」
が助成金を適用しなかった場合の、親の負担額になる。
一方、助成金をもらった場合は
「150円×160時間=2万4000円」
がひと月あたりの負担額。都のモデルケースによると、通常月あたり8500円程度の所得税が「月5万2300円」に増えるが、利用料金と所得税(年収分を含む)のトータルでもみても月額7万6300円。
所得税を含めると、制度を使わなかった場合との差額は月31万6200円にのぼり、大幅な支援を受けていることが分かる。
ツイッター上では「税金含めても格安は格安ですぞ」「良い制度なのにヤクザ呼ばわりとは」と割安感を指摘する人も一定数いた。しかし、「後から月5万円以上の税負担がやってくる」という点が注目を集めたようだ。
1時間150円は、所得税を含めてもかなり安い。とはいえ、誤解を招きやすい制度ならば、差額を雑所得として翌年に課税するのではなくて、もっとシンプルな設計にするべきだろう。