人材不足が深刻な介護業界の実態まとめ 「きつい」「大変」資格を取っても待遇変わらずやりがい搾取状態
介護職の人材紹介サービスを運営するウェルクスが行った調査からは、過酷ぶりが浮き彫りになった。介護職、または同社の提供する介護系SNSのフォロワーなど男女100人に対して実施したこの調査では、98%が「介護サービスの利用者から暴言・暴力を受けたことがある」と回答。さらに、セクハラや介助拒否といった「困った行為をされたことがある」と回答した人は99%と、ほぼ全員だ。
介護現場で暴言・暴力を受けた経験のある職員のうち、上司や周囲に相談し、問題を解決できた人は15.6%にとどまる。このように、問題が長引く労働環境も、深刻な人手不足の一因ではないだろうか。【→詳しく見る】
過労による精神障害の労災申請件数は、「介護・福祉」業界が1位
過酷な状況は、厚労省のデータからも裏付けられる。2016年度の労災補償状況によると、精神障害による労災申請件数は1586件。うち「社会保険・社会福祉・介護事業」分野で働く人からの申請は、他の業界・業種の中で最も多く167件だった。
介護の仕事は、昼夜を問わない勤務体制や利用者の介助などで肉体的な負担が大きい。暴言や暴力など精神的な負担も加わり、介護する側の体調が限界になるケースも少なくないのだろう。【→詳しく見る】
介護福祉士の9割が待遇に不満 資格を取っても給料変わらず
実務経験や勉強を重ねて介護福祉士の資格を取得しても、給与や待遇に反映されないという問題もある。
ウェルクスが、介護福祉士の資格を持つ男女134人に行った調査によると、87.3%が「介護福祉士の手当や待遇に満足していない」と回答した。資格手当の額は5000円以下との回答割合が最も多く、45.5%。手当がない人も2割近くいた。
実務内容に関しても、約8割の人は取得後も変化がないと回答している。給料も仕事内容も変わらないのであれば、介護福祉士の資格取得に挑戦する気力も失われてしまわないだろうか。【→詳しく見る】
介護業界の人手確保は喫緊の課題
今後高齢化がますます進む日本では、介護業界の人材確保は死活問題だ。現在介護職に就いている人が長く働き続けるための待遇改善も、早急に進められるべきだろう。