混雑率199%でワースト1位の東西線! 過酷な車内状況とメトロの企業努力のまとめ
千葉県の西船橋から東京都の中野までつながる東京メトロ東西線は、通勤時間帯に大混雑することで有名だ。
2017年7月、国土交通省による最新の鉄道混雑率データが発表されたが、同線の「木場→門前仲町」区間が前年度に引き続きワースト1位、混雑率は199%という結果だった。
国土交通省曰く、混雑率200%は「体がふれあい相当圧迫感があるが、週刊誌程度なら何とか読める」程度だという。でも、実際には手足を動かすこともままならず、不快に思いながらただ時間が過ぎるのを待つだけ……というほどの混雑ぶりであり、体感では200%を優に超えていると感じる乗客も多いようだ。
2014年には、東西線の大手町駅で窓ガラスが割れ話題になった。東京メトロによれば、人の圧力だけで窓ガラスが割れるとは考え難く、何か尖ったものがぶつかり、さらに圧力が加わったためではないか、とのことだが、ネット上では「東西線だから別段驚くことでもない」という意見も少なからず見られた。窓ガラスが割れてもおかしくないと感じるほど混雑しているのが日常風景になっているのだろう。【→詳しく見る】
「痛勤」とも言われる朝のラッシュ時、新人記者が乗ってみた
キャリコネニュースの記者は、「痛勤(つうきん)」とまで言われる東西線に実際に乗車し、その過酷ぶりを体験した。朝8時8分発中野行の通勤快速は、葛西駅、西葛西駅あたりから混雑が増すように感じられた。ドア付近に立っている人は苦しそうだったが、車両の中側に立っていた記者はスマホの操作も可能で、「痛い」というほどではなかった。
ただ、西船橋駅~日本橋駅間、ホームは人で埋まり、駅員は交通整理に忙しい様子だった。また、9駅移動する間に、運転間隔調整や急病人介護を理由に起きた一時停止は8回。合計10分の遅れが発生した。東西線でのこうした遅れは珍しくないようだ。【→詳しく見る】
大規模な遅延で入社早々遅刻する社会人に、先輩からは「東西線からの新たなる門出への贈り物なわけです」との同情も
ここまで混雑するのには、葛西駅、浦安駅近辺や相互直通運転をしている東葉高速鉄道線沿線の宅地開発が進み、乗車客が増加したことが大きい。開業から約30年で、東西線の利用者数は倍に増えているという。
東西線沿線には家賃が安い駅も多く、新生活を迎える人にとっても住みやすいエリアだ。しかし、社会人になって混雑ぶりを知ってしまうと悲惨だ。引っ越し前に通勤事情まで理解しておきたい。
例えば2015年4月のこと。新社会人にとって入社3日目というタイミングで、信号機トラブルが原因で、西船橋からの上り方面で30分以上遅れる事態が発生した。新年度早々遅刻する羽目になった新社会人には「早速の洗礼だな。東西線からの新たなる門出への贈り物なわけです」と同情する声もかけられていた。【→詳しく見る】
「早起きキャンペーン」の通年実施で混雑緩和に必死の対策
もちろん、東京メトロも対策をしていないわけではない。2017年9月からは、これまで期間限定で行ってきた「東西線早起きキャンペーン」を通年で実施している。朝の通勤ラッシュを避けた時間帯にIC乗車券で改札を通ると「メダル」というポイントが貯まり、貯まったメダルの枚数に応じて商品券が手に入るキャンペーンだ。メダル100枚で500円分、300枚で1500円分が貰える。
利用時間帯によって「ゴールドタイム」「シルバータイム」「ブロンズタイム」と分けられており、それぞれで獲得できるメダル枚数に5枚、3枚、1枚と差が付いている。通勤ピークを避けた時間帯に多く利用すれば、効率的にメダルを集めることができる仕組みだ。
オフピーク通勤は、混雑率が高い他の線でも推奨されている。こういったキャンペーンがあると早起きのモチベーションも上がり、いつもより快適に通勤できるかもしれない。【→詳しく見る】
大規模工事で抜本的な改良も実施中。2021年に遅延や混雑は改善される見込み
オフピーク通勤以外では、輸送改善のため、大規模な改良工事に取り組んでいる。
東京メトロプラン2018によれば、現在、飯田橋~九段下駅間、茅場町駅、木場駅、南砂町駅の4か所で、折り返し線の整備やホーム延伸、コンコース拡幅、線路増設などに向けた工事が行われているという。これにより、混雑の緩和や乗客の安全確保、遅延の減少を狙う。2019年から2021年にかけて順次工事を終える予定とのことで、2021年には混雑ぶりが解消され、痛い思いをする人が減っていることを期待したい。
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