ブランド総合研究所が10月14日に発表した都道府県の魅力度ランキングで、前年まで7年連続で47位だった茨城県が最下位を脱出した。しかし、その裏で初めて最下位になった栃木県の職員は「なかなか残念な結果だった」と驚きを隠せない。
ランキングは、同社が6~7月にネット上で実施した「地域ブランド調査」の一環。各都道府県について「どの程度魅力的に思うか」という設問に対し、「とても魅力的」「やや魅力的」と回答した割合を基に”魅力度”を算出している。
紅葉に温泉、餃子にイチゴもあるのに……なぜ最下位に?
県とちぎブランド戦略室は、キャリコネニュースの取材に対して
「漠然としたイメージだけで、県全体の評価として受け取られるのは本望ではない」
と答えた。そう話すのには、理由がある。「居住意欲度」「観光意欲度」「産品購入意欲度」の各項目の順位を個別に見ると、いずれも37~40位で最下位になるほど悪くない。「資源の魅力はいっぱいあるのに……」(同戦略室)と漏らすのも頷ける。
同戦略室によると、同県は首都圏に比較的アクセスしやすい地理的優位性に加え、世界遺産「日光の社寺」や鬼怒川温泉、那須高原といった観光地もそろっている。食の魅力では、宇都宮餃子が全国的に有名なほか、50年以上にわたり生産量日本一のイチゴもある。
同戦略室は「Go Toキャンペーンが始まる前から、那須高原のキャンプ場では密を避けた家族連れが見えていましたし、現在は徐々に観光客が戻っています」と現状を紹介した上で、
「奥日光では紅葉も始まっており、県内で1か月以上にわたり紅葉が楽しめます。これからは温泉が気持ちいい季節ですし、イチゴの出荷も始まるのでオススメです」
と県の強みをアピールした。
テレワークの普及で、都心部からの移住先としても魅力あり
これまで栃木の魅力といえば、観光スポットとしての魅力が語られることが多かった。しかし最近は新型コロナでテレワークが普及した影響で、都心部に住む人の移住先としても注目され始めている。
県地域振興課によると、東京・有楽町の「とちぎ暮らし・しごと支援センター」に寄せられた相談件数は、7月に56件(前年同期比40%増)、8月に35件(同84%増)だったという。7月の相談件数は、2015年の窓口設置以降で最多だった。
さらに、県ではテレワーカーの関心が高まっているのを受け、直近の9月議会でテレワークの普及に向けた補正予算が可決。テレワーカーに向けた情報発信を強化するほか、サテライトオフィスの設置促進などを進めるとしている。同課は
「東京圏のテレワーカーに向けたデジタル広告の掲載し、先輩移住者の声などを紹介した移住・定住促進サイトに誘導したいと考えている」
と計画を明かす。また、テレワークに特化した情報発信サイトを新設するほか、地理的優位性、自然、子育て環境といった同県の強みを紹介する動画の作成なども検討しているという。
政府は2021年度から、テレワークで東京の仕事を続けながら地方移住した人を対象に、最大100万円補助する方針を発表している。テレワークを前提とした”新しい生活様式”の拠点には、栃木県も十分候補に入ってくるのではないだろうか。