「産んだら大変とばかり言うから――」麻生太郎財務相の発言は、多くの人の怒りを買ったようだ。麻生氏は11月18日の衆院財務金融委員会で、少子化の原因について「一番は、『結婚して子どもを産んだら大変だ』ばかり言っているからそうなる」と発言。
「独身者に『おまえ、結婚は夢があるぞ』と堂々と語っている先輩の人はほとんど聞いたことない。『結婚だけはやめとけ、大変だぞ』とみんな言うから。結婚は夢がある、子どもを育てるのはおもしろい、という話がもっと世の中に出てこないと、なかなか(子どもを産む)動きにならないんじゃないかなあという感じが正直な実感です」
などと持論を展開すると、SNSや匿名掲示板などで話題となり、多くの否定的な意見が上がった。(文:okei)
「だって産んで家事やって働けって言うじゃん」「将来に希望がないんだよ、分かってないな」
ガールズちゃんねるでは同日トピックが立ち、女性視点のコメントが多数寄せられた。
「実際大変なんだから仕方ない」
「だって産んで家事やって働けって言うじゃん」
「普通に生活するだけでも大変なのに子どもなんて考えられる訳ないって分かんないのかね。麻生さんにはガッカリだよ」
「違う違う、子どもを産み育てられる年齢層が幸せじゃないから。将来に希望がないんだよ、分かってないな」
子育ては実際大変だし、経済的に安定していないから産まない・産めないということを麻生氏が理解していない、と憤る人が多かった。また、麻生氏を“子育ての大変さを知らない高齢男性”とみなし、度重なる失言に辟易するコメントもおびただしい。
「単純に給料が下がってるからだろ」「国民のせいにしないで」
5ちゃんねるでも同様に、「実際大変やん。現実知らない奴が政治家やるな」などの批判が相次いでいる。
「それは結果で原因じゃないってこともこの人はわからんのか」
「低収入非正規ほど結婚してないし、交際すらしてないんだが。金の問題だろ実際」
など、経済的な理由を上げる人が目立つ。「単純に給料が下がってるからだろ」として、父親一人が働いていれば子どもが進学してサラリーマンになったバブル時代と比べるな、と憤った人は、
「正規雇用者の人数減らして、経済的・将来の不安定な人間沢山増やせば、結婚して子ども作って育てようかって人間が減るのは当たり前だ」
と怒り心頭だ。賃金のわりに重い税負担の不満を吐き出す人も相次いでいる。
OECDの「主要国賃金比較」によれば、この20年ほどで賃金がマイナスになったのは、先進国中で日本だけ。派遣法が規制緩和されたことで非正規雇用が増え、経済的な格差が広がったことを示唆するコメントも散見された。政治の責任は重いのに、「国民のせいにしないで」と怒る人が多いのも頷ける。
メディアの影響はゼロではないものの、「結婚して嬉しい、楽しいと思える世の中を作れよ」
しかし中には、「一理あるかもしれない」と、メディアや伝え方の問題はあると納得する人たちもいた。5ちゃんねるでは、
「子どもの頃からずっとそうTVで言いまくってきたし、回りの大人たちは子育てしんどいて言いまくってるし、授業でも将来は二人で一人の老人を支えることになりますって習ったし、産むなんて気にならんかった」
と、かなり周囲の言葉やメディアの影響を受けたという人がいた。
また、ガールズちゃんねるでは「大変なのは事実だからね。けど、嬉しい事も楽しい事も沢山ある」と子育てをポジティブに語った上で、こう指摘する人もいた。
「そこを話すと自慢だ、マウントだとなるから旦那の愚痴や大変な話をする比重が多くなるのも事実だと思う。国だけじゃない、国民の心も子どもに対して厳しい世の中になってきた」
確かに、「結婚生活で良かった話」を、子どもに興味がない人や結婚しない人にはしづらい。勢い愚痴のほうが多くなるし、メディアも特に酷いエピソードを取り上げがちなので、そういう影響がまったくないとは言えないだろう。しかし、それはそれで本当に大変な状況があるからこそ伝わってきた情報でもある。
スレッドの中には、「いやだから結婚して嬉しい、楽しいと思える世の中を作れよお前らが。せめて作る努力しろよ」という、嘆きながらの批判もあった。