バスやタクシーを含め、生まれてから一度も自動車に乗ったことがない人は少ないだろう。住む場所によっては、毎日の生活に欠かせない地域もある。便利な自動車ではあるが、ときに命を奪う凶器になることも事実だ。
掲示板ミクルに12月上旬、20歳の娘の運転技術に不安を抱く投稿者から相談が寄せられた。投稿者曰く、1年半前に購入した新車もすでに“ボロボロ”にしてしまったという。
警察庁によると、2019年に発生した自動車などによる死亡事故のうち、免許取得後1年以内のドライバーが起こしたものは109件(4.0%)。「10年未満」(20.8%)で括ると、全体の5分の1を初心者ドライバーが占める。投稿者の娘はまだ人身事故こそ起こしていないものの、「車の悲惨さを見ると車を取り上げたほうがいいのでは」と迷っている。(文:石川祐介)
「ペーパードライバー講習で何がダメなのか見てもらいました」という人も
コメント欄には「練習に何日も付き合って改善しそうにないと思ったら、もう車は諦めた方が良いかもしれませんね」と娘に運転させないことを勧める声のほか、
「娘さんとは少し違いますが15年以上ペーパーだったのですが運転せざるを得ない状態になり新車を購入。最初の一年は、距離感掴めないで数回壁にぶつけました。その時にヤバいと思い、自分の車で実際の道路を走るタイプのペーパードライバー講習を受け、何かダメなのかプロから見てもらい教わりました」
講習を受けることで克服した経験談を語る人もいた。確かに、他人に自分の運転を見てもらうことで、問題点が浮き彫りになることは多い。それも相手がプロの教官ともなれば、より大きな効果が期待できる。
「免許取り立ての人が最初に乗るのは、親のお下がりか中古車が常識だと思ってた。新車なんてチャレンジャー過ぎる」
「初心者なら30万円前後の中古車で練習して様子を見るでしょ。まあ、いずれにしても乗ったら駄目なレベルなら車は処分した方がいい」
そもそも、免許取りたての人が新車を買うこと自体が博打なのかもしれない。最初は車体を擦ることを前提に安価な中古車にしておいて、運転に慣れてきたら好きな新車を買う……という流れが一般的だと考える人も多かった。
免許が取得しやすい現状に不満抱く人も
また、誰もが免許が取得しやすい現状を批判する人もみられた。
「よく教習所卒業できましたね。身内が心配になるレベルなら、外は走らせないでほしいです」
「自動車学校によっては甘かったり合宿なんかはやっつけみたいな感じだからね簡単に卒業させるのではなくできない場合は諦めさせるのもやるべき」
免許を取得するには自動車学校に通う必要があり、学科や実技などの試験に合格する必要がある。だが、基本的には何度も受けることができ、裏を返すと、現状の制度では運転に適性がない人でもいつかは免許を取得できる制度と言える。
「私もかなりの田舎出身で車は絶対必要な土地にずっと住んでますが、ペーパードライバーです。もう教習所通ってる時から危険だから絶対乗らないと決めて今に至ります」
車が生活に必要な地域に住んでいても、自分の運転技術に危機感を抱いた上で、運転しないことを決める人もいた。運転は“習うより慣れろ”の部分も大きいが、“練習中”に死亡事故の加害者になってしまうリスクもある。高齢運転者の免許返納と同様に、当事者に適正がないと感じる部分があるならば、運転しない選択をすることも大切だろう。