あの会社の社員の平均年収はいくら？

上場企業の財務諸表から待遇を探る「これだけもらえる優良企業」シリーズ。今回は、「業務スーパー」を展開し“食品業として日本最大の製販一体企業”を標榜する神戸物産を取り上げます。

神戸物産社員の平均年収は470万円

最新データ（2019年10月期）によると、神戸物産社員の平均年間給与は469万9275円。ここ数期は年ごとに上下しています。

• 2015年10月期：469万9275円
• 2016年10月期：463万5575円
• 2017年10月期：484万7335円
• 2018年10月期：458万6051円
• 2019年10月期：474万3827円

この額には、賞与や基準外賃金（手当など）も含まれています。

企業口コミサイト「キャリコネ」に投稿された給与明細によると、40歳男性管理職（高卒）の年収は585万円。基本8:30～19:40の勤務で「20時以降の残業はなかった」とのことです。

神戸物産の業績はここ数期、非常に好調です。コロナ禍の混乱があったのにもかかわらず、2020年10月期の売上高は前期比13.8％増の3409億円、営業利益は同24.0％増の239億円でした。

神戸物産の主力は「業務スーパー」。ナショナルブランド商品だけでなく、自社グループ工場せ製造する商品や自社輸入商品等の「プライベートブランド商品」が強いのが特徴で、総店舗数は879店舗（2020年10月期）まで伸びています。

神戸物産の時価総額（2020年12月25日12時時点）は8687億円。大手ゼネコンの大成建設や鹿島を上回り、サイバーエージェント（8774億円）と肩を並べる勢いです。

神戸物産社員の平均年齢は38歳

次に、従業員数と平均年齢、平均勤続年数（ともに単体）を見てみましょう。

神戸物産社員の平均年齢は38.6歳。ざっくり言うと、30代後半で400万円後半をもらう人が多いということでしょうか。

• 2015年10月期：283人（38.1歳・5.9年）
• 2016年10月期：301人（38.6歳・6.0年）
• 2017年10月期：335人（38.7歳・7.4年）
• 2018年10月期：387人（37.5歳・6.4年）
• 2019年10月期：403人（38.6歳・6.6年）

これは神戸物産本体（単体）のデータですが、従業員数が4期前の1.4倍に増えています。一方、グループ全体（連結）では2019年10月期が2,147人で、ここ数期は大きな変動がありません。

神戸物産の報告セグメントは「業務スーパー事業」「神戸クック事業」「クックイノベンチャー事業」「エコ再生エネルギー事業」の4つ。2020年10月期の報告セグメント内の構成比は、売上高の94.1％、営業利益の84.8％を「業務スーパー事業」が占めています。

なお、期中にクックイノベンチャー事業を担っていた「壁の穴」「ふらんす亭」など11の子会社を連結対象から外しており、これによりこの事業の売上高は前期比で147億円減っています。

それにもかかわらず全社で2桁増収となっており、神戸物産の好調ぶりがうかがえます。

「食品に関わる総合企業へ」

神戸物産では新卒採用のほか、キャリア採用も行っています。採用サイトには職種名ではなく「海外でも活躍できる仕事」「会社の魅力を伝える仕事」「会社の意思決定を助ける仕事」などといったわかりやすい説明となっています。

神戸物産は1981年に沼田昭二氏が兵庫県加古川市に食品スーパーを開業したのが始まり。2000年から「業務スーパー」のフランチャイズ体制をスタートさせています。

2012年には、昭二氏の長男である沼田博和氏が31歳で代表取締役に就任しています。

業績好調の割には年収が低いと感じるかもしれませんが、「お客様に対していい食品をより安く提供する」会社なので、給与が急激に上がることは期待できないかもしれません。

しかし社長は採用メッセージの中で、いい品質のものをできるだけ安く売るための「しくみが必要」と強調しています。そのようなしくみづくりに携わることができれば、職位を上げながら高い報酬が得られる可能性があるでしょう。

また社長は小売にとどまらず、外食を含めた「食品に関わる総合企業へ」というビジョンも語っており、食に関係する仕事に就きたい人には魅力的な職場になるかもしれません。

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