上場企業の財務諸表から待遇を探る「これだけもらえる優良企業」シリーズ。今回は、牛丼の「すき家」など外食チェーンを国内外で展開するゼンショーグループの持株会社、ゼンショーホールディングスを取り上げます。
ゼンショーHD社員の平均年収は618万円
最新データ(2020年3月期)によると、ゼンショーHD社員の平均年間給与は618.9万円。ここ数期は右肩上がりに増えています。
- 2016年3月期:589.1万円
- 2017年3月期:596.4万円
- 2018年3月期:605.2万円
- 2019年3月期:610.0万円
- 2020年3月期:618.9万円
この額には、賞与や基準外賃金(手当など)も含まれています。
企業口コミサイト「キャリコネ」へ投稿された給与明細によると、営業担当の27歳女性契約社員の年収は460万円。定期賞与は年2回で計100万円でした。
ゼンショーグループの売上利益はここ数期で急激に伸びており、海外展開を含む拡大路線は後述する従業員数の増加にも表れています。
2020年3月期の売上高は前期比3.7%増の6304億円、営業利益は同11.1%増の209億円と、いずれも過去最高を更新。しかし2021年3月期はコロナ禍により大打撃を受け、売上高が前期比0.8%減、営業利益は57.7%減となる見込みです。
ゼンショーHD社員の平均年齢は37.5歳
次に、従業員数と平均年齢、平均勤続年数(ともに単体)を見てみましょう。
ゼンショーHD社員の平均年齢は37.5歳。ざっくり言うと、30代半ばで600万円台に乗る人が多いということでしょうか。
- 2016年3月期:472人(36.3歳・6.4年)
- 2017年3月期:528人(36.6歳・7.2年)
- 2018年3月期:550人(37.0歳・7.4年)
- 2019年3月期:622人(37.4歳・7.5年)
- 2020年3月期:600人(37.5歳・7.6年)
なお、このデータは持株会社ゼンショーホールディングス(単体)のみのもの。グループ全体(連結)では2016年3月期の7,563人から、2020年3月期の14,402人へと2倍近くに増えています。
これは2018年3月期以降、北米でのテイクアウト寿司店やマレーシアでのチキンライス専門店などの新規連結や海外事業における店舗数の増加が毎期発生しているためです。
ゼンショーグループといえば、店舗数日本一を誇る牛丼の「すき家」や「なか卯」で知られていますが、2020年3月期の牛丼カテゴリーのグループ売上シェアは34.9%にすぎません。
「ココス」「ビッグボーイ」「ジョリーパスタ」などを展開するレストランカテゴリー(同19.1%)や、「はま寿司」「かつ庵」などを展開するファストフードカテゴリー(同23.8%)、スーパーマーケットなど小売事業(同13.1%)、冷凍ピザの販売等の「その他カテゴリー」(同9.1%)など事業を多角的に展開しています。
これからの外食産業にはITが必要
コロナ禍は外食事業に大きな打撃を与えました。ゼンショーグループでも売上高は前期比で微減、営業利益が大幅減となる見通しです。
2021年3月期上期決算は、小売事業の売上高が前年同期比で11.0%増と伸びたものの、牛丼カテゴリーが同6.1%減、レストランカテゴリーが27.8%減、ファストフードカテゴリーが14.8%減と外食事業が大きく落ち込んでいます。
企業サイトのキャリア採用ページには「現在、募集中の職種はありません」とありますが、求人サイトには社内SEや人事給与システムの運用エンジニアの募集が掲載されています。
外食産業は今後、ニューノーマルの時代に合わせた形態に変わっていきます。そのためにはITの力が欠かせません。グローバルに展開する外食産業を支える仕事に携わってキャリアアップを図りたい人には、魅力的な職場となるでしょう。
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