上場企業の財務諸表から待遇を探る「これだけもらえる優良企業」シリーズ。今回は、ネットショッピングやオークションの相場、統計価格を比較できる会員サービスなどを運営するオークファンを取り上げます。
オークファン社員の平均年収は約530万円
最新データ(2020年9月期)によると、オークファン社員の平均年間給与は529.9万円。2期前には一時的に平均が上がっていますが、このときには後述するように従業員数が減っており、その影響があるのかもしれません。
- 2016年9月期:481.0万円
- 2017年9月期:525.3万円
- 2018年9月期:539.8万円
- 2019年9月期:528.2万円
- 2020年9月期:529.9万円
この額には基準外賃金(手当等)が含まれています。新卒採用の募集要項には賞与について触れられておらず、定期賞与などは支給されていないと見られます。
オークファンは創業来13期連続で増収増益を続けており、2020年9月期の売上高は3期前と比べて2.15倍の78.7億円、営業利益は同4倍の8.2億円でした。
2021年9月期の連結業績予想は、売上高が前期比38.4%増の109億円、営業利益が同58.4%増の13億円とさらに大きく伸びると見込まれており、これを受けて株価も一時急騰しました。
オークファン社員の平均年齢は34歳
次に、従業員数と平均年齢、平均勤続年数(ともに単体)を見てみましょう。
オークファン社員の平均年齢は34.1歳。ざっくり言うと、30歳過ぎで500万円強をもらう人が多いということでしょうか。
- 2016年9月期:67人(32.5歳・3.8年)
- 2017年9月期:69人(33.5歳・2.5年)
- 2018年9月期:65人(33.3歳・3.2年)
- 2019年9月期:93人(34.4歳・3.3年)
- 2020年9月期:96人(34.1歳・3.3年)
オークファン(単体)の従業員数は2019年3月期から急増していますが、グループ全体(連結)では急減しています。従業員数が減る中で業績が伸びていることになり、社員としては賞与などでの還元を期待したいところかもしれません。
- 2016年9月期:105人
- 2017年9月期:120人
- 2018年9月期:172人(ネットプライス、ゼロディブを連結子会社化)
- 2019年9月期:149人(ゼロディブを連結から外す)
- 2020年9月期:146人
創業以来の事業基盤である「aucfan」は、各ECサイトやオークションサイトが公開している商品情報や価格情報を整理統合し、月額会員の個人ユーザーに「相場情報」として提供するサービス。
オークファンの報告セグメントは、「aucfan」を発展させて商品の時価を可視化する「在庫価値ソリューション事業」と、中小企業・副業/個人事業主向けに再流通インフラを提供する「商品流通プラットフォーム事業」、これに事業投資を行う「インキュベーション事業」を加えた3つです。
2020年9月のセグメント別業績は、在庫価値ソリューション事業が売上高19.3億円(前期比0.8%増)、営業利益3.7億円(利益率19.0%)。商品流通プラットフォーム事業が売上高48.2億円(同19.9%増)、営業利益3.2億円(同6.7%)です。利益率は前者が高いですが、後者の方が伸びが大きいです。
廃棄される22兆円の法人在庫に着目
オークファンは自社の事業について、“消費者に届けられることなく廃棄される約22兆円の法人在庫に着目し(略)これらの在庫を「適切な価格で」「適切なマーケットに」お届けする支援” “相場データのみならず積極的に流通に関与”などと説明しています。
商品在庫の廃棄ロスは、コロナ禍によって卸売業や小売業を中心に深刻化が予想されています。オークファンは、企業在庫の価格と販路を最適化する予測モデルを構築しており、需要が高まりそうです。
キャリア採用サイトには、エンジニア職とビジネス職の幅広い求人が掲載されています。特に在庫価値ソリューション事業はSaaSビジネスであり、新規クライアント獲得営業や新規導入サポートの人材が求められているようです。
SDGs(持続可能な開発目標)にも通ずる事業なので、成長分野にキャリアチェンジしたい人には魅力的な職場となるかもしれません。
—–