上場企業の財務諸表から待遇を探る「これだけもらえる優良企業」シリーズ。今回は、マヨネーズ、ドレッシングで国内首位のキユーピーを取り上げます。
キユーピー社員の平均年収は587万円
最新データ(2020年11月期)によると、キユーピー社員の平均年間給与は587万5527円。前期から14万円近く減っています。
- 2016年11月期:602万6609円
- 2017年11月期:596万1895円
- 2018年11月期:601万8394円
- 2019年11月期:601万4507円
- 2020年11月期:587万5527円
この額には基準外賃金(手当等)および賞与が含まれています。
企業口コミサイト「キャリコネ」に投稿された給与明細によると、営業職の27歳女性の年収は416万円。住宅手当は月4万円、賞与は基本給の4ヶ月分となる80万円(2018年度)です。
この女性は「残業代は1分単位で支払われ、勤怠もパソコンできちんと管理されている」と労働時間には問題を感じていないよう。「TOEIC等の資格試験に対して補助金制度がある」点にも満足げです。
キユーピーの業績はここ数期で右肩下がり。売上高は2018年11月期の5735億円から2020年11月期の5311億円に、経常利益も343.5億円から289.9億円に落ち込んでいます。
キユーピー社員の平均年齢は40歳
次に、従業員数と平均年齢、平均勤続年数(ともに単体)を見てみましょう。
キユーピー社員の平均年齢は40.5歳。ざっくり言うと、40歳で600万円前後もらっている人が多いということでしょうか。
- 2016年11月期:2,510人(38.7歳・13.7年)
- 2017年11月期:2,523人(39.2歳・14.2年)
- 2018年11月期:2,508人(39.8歳・14.7年)
- 2019年11月期:2,447人(40.3歳・15.1年)
- 2020年11月期:2,426人(40.5歳・15.3年)
キユーピー(単体)の従業員数はここのところ微減していますが、グループ全体(連結)では2016年11月期の14,095人から2020年11月期の16,003人へと増えています。
キユーピーの報告セグメントは、2020年11月期までは6つでした。マヨネーズ・ドレッシング類などの「調理・調味料」、「サラダ・惣菜」、「タマゴ」、ジャム類などの「フルーツ ソリューション」、ヒアルロン酸等の「ファインケミカル」、「物流」です。
売上高は「調理・調味料」が33.9%、「物流」が26.4%をあげており、この2つの事業を合わせて6割を超えます。営業利益(全社費用を除く)は「調理・調味料」が63.5%を生み出しています。
「硬直」を打破できるか?
キユーピーは2021年11月期から、報告セグメントを「市販用」「業務用」「海外」「フルーツ ソリューション」「ファインケミカル」に大胆に組み換えます。
また、売上高の4分の1を占めていた「物流」(キユーソー流通システム。東証一部)を連結子会社から外し、持分法適用関連会社へ移行する予定です。
セグメント組み換えの理由について、会社は、従来の「事業担当制」では縮小する市場やお客様の多様化するニーズに対して「硬直した状態」であるため、と説明しています。
キユーソー流通システムが連結から外れることで、2021年11月期の売上高は前期比24.7%減と大きく落ち込むことになりますが、経常利益は同4.1%減にとどめる見込みです。
キユーピーは現時点で中途採用を行っておらず、「キャリコネ」の口コミでも年功序列という指摘があります。硬直を打破し、成長を取り戻すことができるでしょうか。
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