上場企業の財務諸表から待遇を探る「これだけもらえる優良企業」シリーズ。今回は、金融系ベンチャーのマネーフォワード(東証マザーズ)を取り上げます。
マネーフォワード社員の平均年収は613万円
最新データ(2020年11月期)によると、マネーフォワード社員の平均年収は613万6421円。前期から6万円あまり増えています。
- 2017年11月期:614万8802円
- 2018年11月期:611万6339円
- 2019年11月期:607万2433円
- 2020年11月期:613万6421円
マネーフォワードは2017年9月に東証マザースに上場。上場以来売上高が急伸しており、2020年11月期は3期前の3.9倍となる113億1822万円でした。
一方、経常損益は一貫して赤字で、2020年11月期は3期前の3.0倍となる25億3876万円の赤字となっています。
ただし決算説明資料によると、広告宣伝費を除くEBITDA(償却前営業利益)は12.0億円の黒字。経常赤字も含めて「上場来4期連続」で「期初見通し内での着地を達成」しているそうです。
2021年11月期の通期予想は、売上高が147.5~157.5億円のレンジ予想。経常損益は引き続き12.6~8.6億円の赤字の見込みです。
マネーフォワード社員の平均年齢は33歳
次に、従業員数と平均年齢、平均勤続年数(ともに単体)を見てみましょう。
マネーフォワード社員の平均年齢は33.3歳。ざっくり言うと30歳を過ぎると600万円台をもらう人が多いということでしょうか。
- 2017年11月期:218人(32.6歳・1.5年)
- 2018年11月期:304人(33.2歳・1.7年)
- 2019年11月期:504人(33.0歳・1.8年)
- 2020年11月期:579人(33.3歳・2.3年)
2020年11月期末のマネーフォワード(単体)の従業員数は、3期前と比べて2.7倍に増えており、さらにグループ全体(連結)では、2017年11月期の241人から2020年11月期の865人へと3.6倍に増えています。
マネーフォワードはプラットフォームサービス事業の単一セグメントですが、4つのドメインに事業を分けています。
法人向けサービスを提供する「Businessドメイン」、個人向けサービスの「Homeドメイン」、金融機関向け「Xドメイン」、新たな金融ソリューションの開発を行う「Financeドメイン」です。
2020年11月期の売上高構成比は、Businessドメインが64.5%、Homeドメインが16.7%、Xドメインが12.1%、Financeドメインが6.6%でした。
金融ITサービスの成長性に期待
Businessドメインの中核サービスは、企業のバックオフィス向け業務効率化ソリューション「Money Foward クラウド」です。
マネーフォワードは新卒・既卒問わず、幅広い職種の人材を積極的に募集しており、採用サイトには「エンジニア」「セールス」「デザイナー」「編集」などの求人が掲載されています。「事業開発・プロダクトマネージャー」の求人では、想定年収が400~1000万円となっています。
赤字となっても多額の広告宣伝費をかけているのは、将来拡大する市場を先んじて確保しておきたいという思いからでしょう。
コロナ禍で「事業運転資金の確保」「家計の悪化」に直面する人が多い中、金融ITサービスの成長性が期待されています。株価もこの1年で急上昇。銀行など旧来型の金融機関勤めの人たちには、魅力的な転職先ではないでしょうか。
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