「27にもなって趣味がソシャゲで絶望」と嘆く若者 同僚の趣味が「ペン字」で衝撃受ける
世の中には、十分立派にやってるのに自分を卑下する人がやけに多い。傲慢が過ぎるのも罪だけど、やたらと「自分なんて……」と言っちゃうのも、どうかと思う。
例えば、凄い特技を持ってるのに、謙遜が過ぎたり。職歴が輝かしいのに「落ちこぼれです」とか言ってみたり。そういうのは、嫌味に聞こえることもあるし、そうじゃなくても自分に自信がない人の言葉には聞いている方も反応に困ってしまう。
特に趣味に関しては、こういうスタンスの人って多いんじゃないかな。(文:松本ミゾレ)
趣味の世界では「ペン字>ソシャゲ」なのか
5ちゃんねるに先日「ガチでまともな大人の趣味ってなんや?」というスレッドが立った。まともな大人の趣味と言えば麻雀だと相場が決まっているので、意気揚々とクリックしたが、なんだかスレッドの様子がおかしい。
スレ主に至っては「ワイ27にもなってソシャゲが趣味で絶望してるわ。同僚に趣味を聞いたらペン字やってるらしい」と自分の趣味の低俗さに「家に帰ってワンワン泣いた」とまで書き込んでいる。
いや、ペン字も確かにいい趣味だけど、趣味っていうか実用性があるスキルなので、そういうスキルを会得するのが趣味の同僚がいたということだろう。でも、仮にペン字がガチで好きだとしても、それは一向に構わない。ソシャゲ。いろいろと槍玉に挙げられやすい趣味だけど、こんなのもう、今の時代じゃ高齢者から子どもまでやっている人は大勢いる。
電車の中でもスーツを着た中年男性がモンストやってたりするし、僕の周りでは最近、ウマ娘とかいうソシャゲが大人気になっている。ソシャゲは今や、みんなに受け入れられる趣味なのだ。今更そんな趣味をバカにする人なんて、そうそういないんじゃないだろうか。
「ソシャゲって大金でもない中途半端な額でTwitterでイキりまくれるから気持ちいい」
スレ主は自分を「大人になれなかった」とか「(ソシャゲ趣味が)コンプレックスすぎて辛い。けど美少女ソシャゲでブヒるのやめられん」とか書き込んでいるけど、基本的に趣味に貴賤ってない気がする。
美少女ソシャゲで鼻の下伸ばしてようと、それはそれで立派な趣味だと僕は思っている。というか、今どき美少女ゲーをやってる人なんて、属性としてはただの「オタク」でしかない。
そういうオタクなんてもう何年も前から可視化されているわけなので、今になって一人増えたところで、そこまで問題ではないのだ。オタク趣味の受け皿としてソシャゲが機能しているのは事実なんだし。
さて、このスレ主が結構面白いことを言っていて、これは趣味人の心に刺さる刃物かもしれないので是非紹介したい。「ソシャゲって大金でもない中途半端な額でTwitterでイキりまくれるから気持ちいいンゴ」とした上で、
「自己分析してみたけど多分ソシャゲが好きなんじゃなくて周りより強い優越感が好きなんや」
と書いている。これって金言ではないだろうか。ありとあらゆる趣味には、突き詰めるとビギナーのままではいられなくなる瞬間がある。僕もいくつか趣味を持っているけど、ある段階からその趣味における”高み”みたいなものに触れたくなってしまう瞬間って、必ずあった。
そうして自分よりも素晴らしいスキルを持つ同好の士に嫉妬したりすることも……。今はもうさほどそういうことはないし「目指している方向性が違うだけだから」で納得できるようになったけど、若いころはここに苦悩をした!
スレ主の発言は、熱心な趣味人が絶対にぶつかる壁についての指摘をさらっと述べているのだ。その上で「そういうの無理」とのことで、いつか必ずサービス終了する……つまり終わりがあるソシャゲをやっているわけなのである。
怠惰で自分の趣味の質に納得していないように見えて、この人って実は頭が回り過ぎて、日ごろからしなくていい気苦労をする羽目になるタイプなのではないか?と、そんなことを思うなどした。
もちろん、スレ主が卑下している美少女ソシャゲ趣味だって、本気で遊んでいるユーザーは大勢いるし、その熱意を本来誰も否定はできないところ。王道の趣味と比べるとたしかに拒絶される部分も多い趣味ではある。
フットサルとかスノボが趣味ならいいのか、という問題
ただ、これは別に悪口ではないので気を悪くせずに読んでもらいたいんだけども、王道ではない、オタクの、一般的には気持ち悪いと思われるような傾向のある趣味だって、しっかりとした趣味なのだ。
まともな趣味というのは、一般的な定義だとフットサルとかスノボとか、そういう”人に言っても恥ずかしくないもの”だろう。スレッドのタイトルにも「まともな大人の趣味」を問うているし。
このまともな大人の趣味ってのは、言ってみればリア充。陽キャの趣味ってことなんだろうな。なので、そういう人は別に意識しなくても人に誇れる傾向がある(と思われがちな)趣味に開眼しやすい。
一方で、美少女ソシャゲや鉄オタ、僕みたいな怪獣オタクなど、あまり人に言いにくい趣味を持ってしまった人ってのもいる。これはあくまで、陽キャではないものだから、みんなから受け入れられる明るい趣味が身につかなかっただけの話だと思うのだ。
結局のところ、趣味は自分をあらわすもの。自分の人間性とか性質が反映されたものだから、その結果手にした趣味というのは変に卑下せず、大事にした方がいいのでは?