47歳男性の「和ゲーの主人公は若すぎて自己投影できない」という投稿
子どものころ遊んでいたゲームの主人公は、姫を救ったり魔王を倒したり、最終的には大きな結果をその手にしていた。しかも彼らはせいぜい10代、20代。「若さってやっぱ強い武器になるのかな?」なんてことを思ったものだ。漠然とだけど。
実際、そのぐらいの年代が人生でもっともバイタリティに満ちているし、体力も記憶力も全盛期。なので、この年代が主人公をやったほうが、色々と無茶をしていても「若いからね」で納得がつく。これが不惑を超えたおっさんが主人公となると、そうは行かないだろう。
でも、若者ばかりに華を持たせる日本のゲームに不満を持った、おっさんってのもいるようで。(文:松本ミゾレ)
自分のことを「壮年」って言っちゃうタイプ
先日、2ちゃんねるに「47才だが和ゲーは20才以上年下の主人公で自己投影できない。なぜ俺ら壮年を主役にしてくれないんだ?」というスレッドが立っていた。
最初に驚いたのが「47でもまだゲームに自己投影するぐらいの空想力をキープしているのか」ということだ。このような空想力、若い頃は誰もが身につけているものだけども、年齢を負うごとに劣化していく。僕が今年で37になるが、既にこの47のおっさんにすっかり水をあけられていると自覚する程度には、もう自己投影とかゲームに求めなくなっている。
そういう意味でスレ主は稀有な存在なんだけど、その彼の言い分というのがこちら。
「ゲーマーには中年も大勢いるのに、どうして子供ばかりを主役にするんだよ。これじゃ主人公に感情移入できないだろ」
まあ、言いたいこともわからないでもないが、47歳となるともうほとんどの人はゲームをする余力もないのが現状。ゲームを作る側から見ると、あんまりメインターゲットとして想定されてないだろうから、これはしょうがないことだと思うんだけどなぁ。
でも、僕はこういう中年って結構見てきたんだよね。自分のことを「中年」と呼ばず「壮年」って言うようなタイプの中年。ゲームの主人公に感情移入できないと文句をつけるこのスレ主の他にも「オトナの鑑賞に耐えうる作品を!」と、スーパー戦隊の出来に物申す中年。ウルトラシリーズ、ライダーシリーズに対しても、そういう注文をつけるおっさんってめちゃくちゃ見てきた。相当多いのだ、実年齢に伴わない発言をしていることの違和感に気づけないおっさん。
この47歳の中年も、そういうタイプなんだろう。そして共通しているのは、このおっさんたちってもう自分が文句つけてるコンテンツのメインの支持層ではないということ。特撮は子どもに楽しんでもらうためのものだし、ゲームはちょっと成長した子どものもの。
「おっさんは積立てNISAとかやってろよ」ってのが世間の共通認識なのである。なので正直、スレ主には一切賛同する気力がわかない。
「47歳にもなってゲームキャラに自己投影したいの…?」
そもそも和ゲーだって、おっさんが主役の作品もないわけではない。『メタルギアソリッド』シリーズなんてその具体的一例。『龍が如く』はやくざものの話だから登場人物全般の年齢層は高め。あとは『ダークソウル』とかあの辺なんてそもそも顔が常に装備で覆われてるようなもんだから、年齢ギャップ感じずに遊べるか。
スレッドにはいろんな意見が寄せられてて、47のおっさんに対してはやや辛辣な声も見受けられた。ちょっといくつか「そりゃそうだね」と思える書き込みを引用させていただきたい。
「47歳の姫とか助けに行く気にならんだろ」
「47歳にもなってゲームキャラに自己投影したいの…?」
「何で若さだけにコンプレックス感じているの?」
「40超えてまだ自分が主役気取りなのはどうなんだ。次世代に目を向ける頃だろ」
このように、言われ放題である。僕としては47でまだまだゲームに自己投影要素を求める姿勢は凄いと思うんだけど、でももうおっさんなのは事実だし、おっさんが主人公の和ゲーなんてウケないと思うんだよね。やくざものとか、あとはエロゲーぐらいじゃない? 国産で、なおかつおっさんが主役でリアリティあるの。
もし僕が、自分と同世代の主人公が出てるゲームを発見したとして、多分買わないもんなあ。同世代が活躍する姿を見て自分と重ね合わせるってのは、やっぱり若い人の特権みたいなものだよ。