「育児休暇」の呼称に子育て世代が反発 「休めないのになんで?」「育児休業と正しく呼んで」
父親や母親が育児に専念するために、会社に申請して取得する「育児休業」。仕事をしている同僚からすると「休めていいな」と思うかもしれないが、実際には睡眠もままならない24時間体制の「子育てブラック労働」であることも少なくない。
特に現役の子育て世代の中には、メディアが安易に「育児休暇」といった呼称を使うことに不満を抱く人たちがいるようだ。あるツイッターユーザーは、この言葉に「何とかならないもんかと以前から思ってる」と違和感を表した。
「確かに会社を休むということにかわりはないんだけど、子育てに理解のない層はマジで『休むこと』だと思ってるもんなぁ…出社はしないが本人は休んでないという意味では『忌引き』に近いかも」
「24時間仕事状態になるようなもん」と共感の声
議論のきっかけは、スウェーデン政府が2016年から父親が育児休暇で取得できる期間を3か月に増やす方針を発表したというニュース。AFPが配信した記事を時事通信が翻訳して、国内に配信したものと見られる。
これを読んだあるユーザーは、スウェーデン留学中のある経験を思い出した。「産休&育休」を苦し紛れに「rest to take care of baby」と英訳したところ、先生から「restですって?!子供を産むことと育てることがrest?!」と叱られたと明かしている。
なお、元の記事の英文タイトルは「paternity leave」というワードを使っている。「leave」には「離れる」という意味があり、休暇を意味する「rest」や「vacation」のようなニュアンスはない。
そこから冒頭の「子育てに理解のない層はマジで『休むこと』だと思ってる」という投稿につながるのだが、これを見た子育て世代や子育て経験者からは、共感する声があがっている。
「あー実際休暇でもなんでもないもんな。24時間仕事状態になるようなもんだし」
「確かに、『休暇』とかいう名前付けるから、休暇どころか休みなく家事育児してるのに、お前は休みだろ!!なんてことを言われるのかも」
ある女性は育児休業から復職後に、一歳半までの「がっつり育児の日々」よりも「出勤して休憩もある方がずっと休む時間が多いと思ったな」と振り返っている。
つるの剛士さんが取る場合は「育児休暇」
ネットに流通する記事を見ると、「育児休業」と「育児休暇」とは厳密な使い分けをされていない。この2つの言葉の使い分けについて、All Aboutで「男の子育て/ワーク・ライフ・バランス」の項目を執筆する遠藤雅大氏は、次のように説明する。
「育児休業」は法律に基づいて取得することのできる休業制度で、収入減を補う給付制度の利用ができるもの。一方で「育児休暇」とは、育児のために休暇を任意で取得する休みであり、法律の適用外のため権利の保障や給付制度はないもの、ということだ。
解説では、個人事業主のタレントのつるの剛士さんが取る場合は「育児休暇」で、文京区の成沢広修区長が取る場合は「育児休暇」に近いものとなる、と説明されている。
したがって会社員が通常使うべきなのは「育児休業」ということ。ただし、仮に任意で取得するものであっても、子育て中は親への負担が大きいことには変わりがない。想像力を働かせ、「休めていいな」とねたましく思うべきではないだろう。
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