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「学校のプールの水」出しっぱなしで弁償事件、過去にも発生していた

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「勘違いコロナ対策」でプールの水を出しっぱなし、プール10杯分・約348万円分の水が無駄になってしまった……。神奈川県横須賀市で起こった、そんな珍事件が話題になっている。(文:昼間たかし)

実はけっこうある水の出しっぱなし

神奈川新聞(2022年4月22日付)によると、水・出しっぱなし事件があったのは横須賀市内の市立中学校。2021年6月23日?9月3日までの期間、プール管理を担当する教員は水泳の授業での新型コロナウイルス感染を防ぐために、プールの水を常にあふれさせて水質を綺麗にする必要があると「勘違い」。休日を含めて24時間プールに水を入れ続けたという。

別の教員が気づいて栓を閉めることもあったが、そのたびに担当教員は給水栓を開いていた。結果、プールを使用していない夏休み期間も栓は開いたままになり上下水道料金は約348万円に。市では、この損失のうち半額を関係者に請求。担当教員約87万円、校長・教頭もそれぞれ約43万円を弁償することになった。

さてはて、今回は「勘違い」の珍事件となったが、実は「プールの水を出しっぱなし事件」は、過去にけっこう起きている。

朝日新聞(2019年1月19日付朝刊)によると、神奈川県綾瀬市の小学校で工事の調査で水を抜いた後、消防用水として貯めるために、訪れた市教委の職員が給水栓開いたまま忘れるという事件が、2018年10月に発生している。19日間水が流れっぱなしになり109万円の損害が出たわけだが、この時は立ち会っていた関係者が、お互いに相手が閉めると思っていたと判明。按分の約54万円を関係者7人で弁償することになったそうだ。

ほかにも、2011年には愛媛県松山市の中学校で268万円、2015年には埼玉県加須市の小学校で196万円と、プールの水を出しっぱなしにして高額な水道代を請求される事例はけっこう起きている。

ちょっとトリビアだが、プールの水を無駄にしてしまったケースで関係者に請求するのは、全額ではなく半額負担が一般的のようだ。

しかし、業務上のミスでこんなお金を請求されてしまうのは痛い……が、実はそういう時の備えがある。近年、学校現場では「教職員向けの賠償保険」が普及している。これは教職員が何らかの理由で「賠償金」を支払うことになった際、それを保険金でまかなう仕組みだ。

たとえば誰かから訴えられたケースでの弁護費用・賠償費用や、「卒業アルバムをミスして印刷し直し」「運動会の日に給食を止めるのを忘れていた」などといったミスにも対応している。プールの栓の閉め忘れも保険に入っていればカバーされるようだ。

それにしても今回の「勘違い」それ自体もひどいが、ほかの教員とのコミュニケーションが不足していそうなのも心配だ。つまり、今回の事件は、給水栓を締めた人が「水が出しっぱなしでしたよ!」と声を上げていれば、被害を少なくできたかもしれないからだ。

学校に限らず、普段から会話がしやすい雰囲気・環境になっているかどうかは、仕事のやりやすさやトラブル防止にも結びつくところ。今回の事件をきっかけに、そのあたりも改善されるといいのだが……。

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