若者が全然いない! なぜパチンコ店はおっさんだらけになったのか
先日、知り合いがTwitterで「パチンコ屋に行くたび、若い奴がいないことに気づく」とツイートしていた。これっていつの間にか普通のことになってたけど、ほんの15年か20年も前ってまだまだ若い人の趣味の選択肢にパチンコ・パチスロはあった。
それがなぜ今のような、若者に見放されコンテンツ堂々の第1位って言いたくなるレベルで低迷しちゃったのか。今回はその理由を考えてみたい。(文:松本ミゾレ)
昔は友達に誘われてパチンコを始めることも多かった
一昔前、パチンコをやるきっかけというのはだいたい決まっていたものだ。先輩とか、同級生の悪い奴に「パチンコ面白いぜ」と誘惑され、一緒に遊びに行って、そこで運悪く勝ってしまったものだからズルズルとハマる。こういうのが王道中の王道だった。
僕の周りにも、そうしてのめり込んだ奴が大勢いた。また、育ってきた地域によってもパチンコとの親和性は高くなる。娯楽の少ない田舎では、高校卒業以降も地元に残るとなると、もう娯楽はクルマか、飲み屋に出かけるか、パチンコしか選択肢がない。これはもう地方の宿命みたいなものだ。
それこそ先日、5ちゃんねるとかいう若者がそもそも存在すら認知していない掲示板に「なんでパチンコ始めた?」というスレッドが立っていて、ここにもいろんなきっかけについての書き込みがあった。いくつか引用させていただきたい。
「時給だけにつられてパチ屋のバイト始めて、仕事してる内に一回打ってみようかと。初打ちで2万6000円換金して頭の中で何かが始まったね」
「会社の研修で同期が『1回でいいから付き合ってくれ!』と言ってきたから」
「学校で大流行したのが原因」
学校でパチンコが大流行するって書き込みがあるが、ちょうど2000年代初頭とかに多感な時期を過ごしてきた僕などは、やっぱり友達からパチンコの話を聞くと興奮したものだ。だって高校生でミスドとかでアルバイトをしていたような頃なんだもん。
それを「年齢偽って獣王打って5万円勝ったわ」とか聞くと、もうダメ。「俺はこんなバイトをしていて本当にいいのか?」っていう疑念がわいて仕方がなかった。完全にバイトしてたほうがいいんだけどね。
まあ、このようにして娯楽が今ほど多くなかった時代って、背伸びしたい男の子はパチンコという娯楽に若干憧れを持っていたのだ。喫煙者に憧れるみたいなアレに近いものがあった。実際、パチンコと煙草の親和性は異様に高いわけだし。
今は娯楽も多いし、そもそも若者にカネがない!
ひるがえって現在である。今はパチンコ産業自体がものすごく落ち目になっているし、そもそも今パチンコ店に出向く人ってのはオールドファン。見渡せば大体中高年のおっさん、爺さんばっかりで、これは全国的にも変わらない客層である。
昔……それこそまだ10年そこそこ前ってなると、まだ10代、20代もいたんだけど、今は本当に若い新規ユーザーは貴重。それこそパチンコメーカーも、新規層を取り入れるために何年か前はAKBの台を出してみたり、今に至るまで継続してオタク人気のある萌えアニメの台を出したりもしてきた。
その都度、新規ユーザー候補が訪れることはあったが、到底根付くこともなかったのが実情である。やっぱりこう、無理なんだよね。お金がかかる趣味だし、無知だと周りのユーザーにハイエナされるし。
以前は、「ここからが美味しいのに」ってゾーン前に辞めようとするビギナーがいたら「あ、もうちょっと遊んだほうがいいよ」って忠告する善意の人は多かった。でも今はそういう光景もほぼ見かけなくなっている。これじゃあ新規は根付かないよなぁ……。
さらに言えば手頃に楽しめる娯楽もだいぶ増えた。ここ10年でスマホが普及して、若い人はソシャゲにハマるようになった。実際ソシャゲは日々の仕事の合間にできるし、ログインボーナスなどもあるから継続性がある。集金の仕組みも上手いし、パチンコほど金銭的負担などもない。ユーザーが金銭的に儲かる可能性はないけど、パチンコほど大枚を失うこともない。
そもそもこんな不況の日本では、最初っから若者世代に「これはなくなってもいい数万円だから」という余裕なんてのもない。今の日本じゃ、最初っから若い新規ユーザーが増える余地なんてないのだ。
今はお金がなくても楽しめるソロキャンプとかが流行するんだし、メルカリとか、とにかく私物を金に変えることができるアプリを大勢が利用する時代。パチンコは名実共に、僕みたいなおっさんのヘビーユーザーしかやらないオワコン趣味になってしまったのだ。